今回紹介するニュースとその要旨
近年は福祉分野でもデジタル技術の活用が進む。今回紹介するのは、車いす利用者等向けの幅広駐車スペースの不適切利用防止を目的として、「ミライロID」と連携しながら運用される「VEEMO Welfare」に関するニュースである。
本記事ではニュースの概要を紹介するとともに、私なりの考えもお伝えしたい。
「VEEMO Welfare」および「ミライロID」についての詳細は、以下のページをご覧ください。


また「ミライロID」については、当ブログでも以前記事にまとめました。ぜひあわせてご覧ください。

今回取り上げるニュース

ニュースの要旨
- 車いす利用者や障害者向けの駐車スペースでは、本来利用対象ではない人による不適切利用が依然として問題となっており、必要な人が駐車できず施設利用を断念するケースもある。
- この課題への対策として、デジタル障害者手帳「ミライロID」と連携した新サービス「VEEMO Welfare」が登場した。専用スタンドによって駐車区画への進入を制御し、利用資格を確認した人だけがスマートフォンでスタンドを下げて利用できる仕組みである。
- この取り組みは、不適切利用の防止だけでなく、「本当に必要な人が安心して施設を利用できる環境づくり」を目的としている。一方で、高齢者や妊産婦、けが人などを含め、誰を利用対象とするかは今後の課題とされている。
「福祉ウォッチャーT」筆者の意見
無人で不適切利用を防ぐ新しい取り組みであることは確か
車室内にスタンドを設置して、幅広い乗降スペースを要しない方の利用を物理的に防止する仕組みは、思い切ったと思う。
「VEEMO Welfare」導入駐車場では、「ミライロID」で認証した方のみ、スタンドを下げて車室を利用できるようにしているという。この仕組みなら確かに無人対応もできる。
店舗が駐車場対応ばかりに人手を割けない事情があることは理解できる。かといって駐車場対応に人員を追加すれば、その分人件費が増すことになる。
無人対応でありながら不適切な幅広駐車スペースの利用を防止できるシステムは、うまく運用できれば店舗にも幅広駐車スペースを必要とする方々にも喜ばれるだろう。
「ミライロID」利用者以外は利用できないのか
現状では「ミライロID」利用者以外は「VEEMO Welfare」対応の駐車スペースを活用できないのだろうか。
障害者でも、特にスマートフォンを利用していない方や利用が困難な方を中心に、このアプリを使えない方がいる。それと「ミライロID」の対象者ではない高齢者や妊娠されている方、ケガにより一時的に広い乗降スペースを要する方はどうだろうか。
実際のところ、このような「ミライロID」を利用しないもののニーズのある方々は、「VEEMO Welfare」導入の駐車スペースを利用できるのだろうか。
私が確認した範囲では、有人対応でスタンドを下げる仕組みがあるのかどうかは分からなかった。
逆に「ミライロID」利用者でも、精神障害や発達障害の方、内部障害の方の中には、広い乗降スペースを要しない方がいる。このような場合でも「VEEMO Welfare」の利用対象となるのかが気になった。
まとめ
デジタル化の時代に即した取り組みだが改善が必要
無人でも車いす利用者等向けの幅広駐車スペースの不適切利用を防ぐ仕組みづくりに取り組まれていることに対して、私は一定の評価をしたい。デジタル化の流れがあるので、スマートフォンのアプリを活用するこのような取り組みはあって良いと考える。
ただし、利用資格の確認はデジタル化できても、誰を利用対象とするかという制度設計の問題は別に存在する。現状のままでは、不適切利用を防止しつつ本当に必要な方の利用を確保するという点で課題が残る。今後の改善を期待したい。
特に「ミライロID」を利用しない方・利用対象外の方も、幅広駐車スペースを利用できる仕組みづくりが求められるのではないだろうか。
現状では、店舗スタッフによる利用資格確認とスタンド操作が代替案になるのだろうが、オペレーターによる遠隔操作で代替できるかどうかが気になる。
私はバリアフリーに関する気になる取り組みの1つとして、「VEEMO Welfare」および「ミライロID」の動きを注視したい。特に多様な利用者に対応できるようなシステム改良を期待したい。
バリアフリーについて改めて社会全体で考えたい
最後に、この取り組みが進む背景には、社会全体のモラルの問題もあるのではないか。なぜ車いす利用者等向けの幅広駐車スペースが用意されているのか、それを必要としない方を含め、社会全体で今一度確認する必要がある。
車いす利用者や障害者向けの幅広駐車スペースを利用できるからこそ移動できる方もいる。その意味では、今回のニュースをきっかけに移動に関するバリアフリーについても改めて考えたい。



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