2026年4月18日更新
- タイトルを変更しました。
- 旧タイトル:【障害者の地域生活】グループホームのニュースを見て【ニュース紹介5】
- 見出し・本文を一部修正・変更しました。
- 記事を1ページにまとめました。
- ニュース紹介記事の一覧を追加しました。
- その他修正・変更
- 広告表示の変更・調整
- 記事の抜粋の変更
- 記事末尾のリンク集の改良など
2025年6月2日更新
- 見出しや本文の一部を追記・修正しました。
- 「タグ」を追加しました。
- 紹介先のニュース記事のリンク切れに対応しました。
- 「マンションにあるグループホームに関する裁判の和解の件」についての関西テレビのニュース記事がリンク切れになりました。ご了承ください。
- 記事中の一部外部リンクをブラウザの「新しいタブ」で開くように設定を変更しました。
今回のニュースとその概要
最近、障害者が住むグループホームに関するニュースが多い。私はそのなかでも、次の2つのニュースが特に気になった。
- マンションにあるグループホームに関する裁判で和解が成立した件
- 全国各地でグループホームを運営する企業が不正を働いた件
この記事では、この2つのニュースをまとめて紹介する。障害者向けグループホームについて、資料を参考にしながら説明した上で、この2つのニュースについての私見を述べる。障害者の地域生活や、グループホームの「質」について、考える機会になれば幸いである。
ニュース記事のリンクと要約
マンション内のグループホームに関する裁判の和解の件
2025年6月2日追記:記事削除によりリンク切れになりました。ご了承ください。
- マンションの管理組合が、マンション内にあるグループホームの退去を求める訴訟を起こした。
- 「消防法」の規制遵守で費用が高額になる→「住民の共同の利益に反する」のではないか。
- 1審の大阪地裁では、管理組合が勝訴した。しかし2審の大阪高裁は、グループホーム側の主張を踏まえて、和解を勧告した。
- 地域共生社会を目指す障害者基本法の基本理念と消防法は相反するものではあってはならず、消防法などの理由としたグループホームの使用禁止は認められない。
- 和解の結果、今後もマンション内のグループホームは存続できることになった。当然グループホームの住人は引き続き住むことができる。
- 防火設備等の費用が発生する場合は、グループホーム側が負担する。
グループホーム運営会社の不正問題
- 障害者グループホームの運営会社「恵」が、愛知県内の利用者から食材費を過大に徴収していた。(実費の3倍)愛知県と名古屋市がこの件を「経済的虐待」と認定した。
- またこの件の調査の過程で、障害福祉サービス報酬の水増し請求が発覚した。働いていない職員を働いたように装って、不正に請求していた。
- 愛知県や名古屋市は、「恵」に対してグループホームの指定取り消し処分を行った。また「法人が組織的に不正していた」ということで、いわゆる「連座制」(障害者総合支援法第36条第3項第6号)が適用されることになった。
- 今後全国の「恵」が運営するグループホームの指定更新が認められないことになる。全国で「恵」のグループホームに住む障害者が、今後退去を迫られることになる。
- 厚生労働省(2024)「株式会社恵の不正行為等への対応について」(2024年7月4日アクセス)
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001268129.pdf
障害者とグループホーム
グループホーム(共同生活援助)とは
グループホームの概要
グループホーム(共同生活援助)は、簡単にいえば、障害のある人が支援を受けながら生活できる「住まい」である。これは地域の中にあり、複数の障害者が共同生活を営む。あくまでも「住まい」なので、一般的な住宅に近い。
グループホームの入居者は、日中に一般企業への通勤や、就労継続支援事業所への通所を行うことが多い。つまり、日中以外の「受け皿」になるともいえる。
グループホーム(共同生活援助)の公的な位置付け
.png)
グループホームは、「共同生活援助」として障害福祉サービスの1つに組み入られている。それと「訓練等給付」(居住支援系)の位置付けのサービスになる。厚生労働省(発行年不明)は、このサービスについて、Webサイト上で次のように説明している。
障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行います
厚生労働省「障害福祉サービスについて」
なお、グループホームに住む人の中には、1人暮らしを望む方もいる。そのため、1人暮らしに向けた訓練的な要素がある「サテライト型住居」も用意されている。(厚生労働省 2022: 41)
サテライト型住居の入居者は、入居後原則3年以内に一般住宅での1人暮らしへ移行する。要は「通過型」である。
サテライト型住居は、「本体住居」の比較的近くにあり、グループホームの世話人が巡回支援を行う。もちろんサテライト型住居の入居者からすぐ連絡を受けられる体制が整えられている。
- 厚生労働省(発行年不明)「障害福祉サービスについて」(2024年7月4日アクセス)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html - ―――(2022)「障害者の居住支援について③」(2024年7月4日アクセス)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000911116.pdf
障害者の地域生活とグループホーム
グループホームは障害者にとっての地域の「受け皿」
かつて、障害者は地域から「排除」されてきた。具体的には、入所施設や精神科病院に「隔離」「収容」された時代がある。以前は地域に障害者がいることが当然ではなかったのである。
精神科病院への「隔離」「収容」が、現在社会問題になっている精神障害者の社会的入院・長期入院の要因にもなっている。
それでも近年は、「施設・病院から地域への移行」が進められている。障害当事者が入所施設や精神科病院を出て、地域で暮らせるようにするための取り組みである。その地域移行先の一つがグループホームとなる。
なお、地域移行の受け皿作りがうまく行かない地域もある。例えばグループホームの建設反対運動といった「施設コンフリクト」が発生している地域もある。
障害者の「地域移行」と憲法
そもそも、日本国憲法第22条で謳われている「居住・移転の自由」は、障害者にも保障されている。グループホーム作りなど、地域で暮らしたい障害者を地域で生活できるようにする取り組みは、この「居住・移転の自由」の観点からも必須である。
「福祉ウォッチャーT」筆者の意見
グループホームはもっと増えて欲しい
和解になって良かった
1つ目のニュースにあった裁判の和解の件は、私個人も歓迎できる。この和解は、他のマンション内のグループホームにもプラスの影響がある。
というのも、消防法等各種法令を遵守さえすれば、引き続きマンション内でグループホームを運営できるからである。もちろん、すでにマンションにあるグループホームに住む障害者の住まいが奪われることはない。
マンションの管理組合との意思疎通は、確かに必要だろう。グループホームの運営には、管理組合側の理解が不可欠である。
障害者の「社会的排除」を防いだ和解を評価したい
仮に和解にならず、マンション内グループホームの運営が困難になる判決が出ていたら、障害のある方の地域生活が難しくなっていたかもしれない。
というのも、すでにマンション内グループホームに住む障害者が退去させられるだけでなく、今後のグループホームの設置にも支障が出ていた可能性があるからである。それこそ障害者の「社会的排除」にならないだろうか。この事態を防いだ大阪高裁の和解勧告について、私は評価できる。
それと、新たなグループホームの設置についての支障が減る形にもなる。マンション内へのグループホームの設置が、多少は容易になりそうである。
グループホームの「質」を保ちつつ「数」を増やすためには
「質」が伴わないのは営利企業が福祉サービスに参入した「負の側面」か?
実際にグループホームを増やすに当たって、その「質」の問題がある。グループホームの「数」を増やしたとしても、「質」が十分でなければ、2つ目のニュースで取り上げた「恵」の不正のような問題が今後も発生するのではないか。
特に「営利企業頼み」では、なかなかうまく行かないのではないか。もちろんグループホームを運営する営利企業がすべて問題というわけではない。それと非営利団体でも問題を起こす事業者もある。
とはいえ、営利企業はそもそも収益が強く求められる点に注意しなければならない。今回の「恵」の不正問題は、必要以上に収益を求めた結果生じた可能性がある。
規制緩和の是正など行政の関与が「質」の改善に必要
私はグループホームの「質」の担保のために、より行政が関わる必要があると思う。行政は利用者保護に関わる妥当な規制を掛けるべきである。
現に「恵」の不正問題が発生した理由の一つとして、「営利企業」に福祉サービスの参入を認めたことなど、規制緩和の影響もあったのではないか。
グループホームについては、運営事業者が問題を起こすと、入居者が「住まい」を失う可能性が出てくる。そうなると、障害のある人にとって、次の住まい探しは容易ではない。
他にもできそうな取り組みがある
それと、「より良いグループホームの運営の担い手」を作る・育てる取り組みも必要だろう。特に利益追求が最優先ではない社会福祉法人やNPO法人へのより手厚い支援も求められる。
他には、グループホームの入居者の意見をより吸い上げる仕組みがあれば望ましい。その際、障害ゆえに意思表明が難しい人の存在を考慮しなければならない。グループホームの「質」の担保は、実際に住む入居者の意見が不可欠だからである。
その他ニュース紹介記事は、こちらからアクセスしていただけます。





ニュース紹介11~15はこちらから





ニュース紹介1~10はこちらから





https://welfare-watcher-t.net/2024/07/05/news-review-5/




最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事もあわせてご覧ください。
就労継続支援B型事業所について興味をお持ちの方はこちら
障害者差別解消法を知りたい方はこちら
または「テーマ別ブログ記事まとめ」にお進みください。
メンタルヘルス(こころの健康やこころの病気)に関して、多面的に理解できるように構成された書籍シリーズです。医学だけでなく、心理・社会などさまざまな切り口から捉えたい方の補足資料として参考になります。
もちろんすべてを通じて読む必要はなく、気になる巻を手に取る形でも問題ありません。
こころの健康を、ライフステージ・ストレスとの関係・脳の働きにそれぞれ着目して捉えています。
具体的な事例とともに、メンタルヘルスの諸課題を考えたい方に向けた1冊です。
精神医学の基本を踏まえて、こころの病気(精神疾患・精神障害)を体系的に整理しています。








コメント