今回紹介するニュースとその要旨
今回は、青森県八戸市の「みちのく記念病院」で、看護師が医師の指示を受けずに入院患者を身体拘束していたと報じられたニュースを取り上げる。
身体拘束は精神医療における最も強い行動制限の一つであり、法律上も厳しい要件が課されている。今回の報道について、実際に精神医療を受ける当事者と精神保健福祉士の両方の立場から考えてみたい。
今回取り上げるニュース

ニュースの要旨
- 青森県八戸市の「みちのく記念病院」で、2026年6月上旬に看護師2人が医師の指示を受けず独断で入院患者を身体拘束していたことが判明した。
- 病院を運営する医療法人杏林会は、この行為を問題視し、関与した看護師2人を懲戒処分にしたと公表した。
- 医療法人は今回の事案を「痛恨の極み」とし、再発防止策として病棟内へのカメラ設置や医師による夜間巡回の強化などを進める方針を示した。
「福祉ウォッチャーT」筆者の意見
医師の指示のない身体拘束は確かに法的な問題
精神保健福祉法第36条では、入院者に対する一定の行動制限は認められているものの、身体拘束のような強い制限については、精神保健指定医が必要と認めた場合に限られる。
また厚生労働省の基準1では、身体拘束は自傷行為や著しい不穏など切迫した危険があり、ほかに代替手段がない場合にのみ認められる例外的な措置とされている。さらに制裁や懲罰を目的として行うことは認められていない。
つまり身体拘束は、命に関わる切迫した危険があり、他に代替手段がない場合に限って精神保健指定医の判断で行われる例外的な措置である。
報道のとおり看護師が医師の指示なく身体拘束を行っていたのであれば、精神保健福祉法上も重大な問題と言わざるを得ない。
身体拘束は入院者の回復につながるのか
私は精神科病院の役割を、心身の不調によって入院が必要になった人を支え、地域生活に戻るための治療を行うことだと考えている。
身体拘束は入院者の自由を大きく制限する非常に重い措置であり、本人に大きな苦痛を与える可能性がある。だからこそ法律や基準によって厳しく要件が定められている。
今回の報道に接し、本当に入院者の治療や回復につながる対応だったのか疑問に感じた。特に身体拘束を受けた入院者が心に傷を負っていないか、私は強く気にかかっている。
まとめ
身体拘束は精神医療において最も強い行動制限の一つであり、法律上も厳格な要件のもとでのみ認められている。
今回報道されたような医師の指示を伴わない身体拘束が事実であれば、患者の権利擁護の観点からも看過できない問題である。再発防止策だけでなく、身体拘束を受けた入院者への十分なケアも求められるだろう。
- 「精神保健福祉法における入院・処遇に関する厚生労働大臣基準」の「第四 身体的拘束について」を参照 ↩︎


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