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精神障害者保健福祉手帳の交付をめぐる課題|医師調査から見えた制度の問題点【ニュース紹介17】

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今回のニュース紹介とその概要

この記事について

この記事では、精神障害者保健福祉手帳の交付をめぐる課題について、医師への調査結果を紹介しながら、当事者である筆者の視点から考察を述べる。

制度の目的と現場の運用のあいだに、どのようなギャップが生じているのか。そして、必要な人に手帳がきちんと届くためには何が求められるのか。ニュース記事の内容を手がかりにしつつ、今後の方向性について整理していく。

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今回取り上げるニュース

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ニュースの要旨

  • 精神障害者保健福祉手帳について、医師へのインターネット調査から、診断書作成や等級判断の際に、明確な全国統一基準が十分に共有されておらず、医師ごとの解釈や経験に左右されやすい状況が浮かび上がった。
  • 手帳は本来生活上の困難さを支援につなげるための制度である一方、症状の重さや診断名が重視されがちで、日常生活や就労への影響が十分に評価されていないケースがあることが指摘されている。
  • 調査では、手帳の交付基準の分かりにくさや説明責任の負担を課題と感じる医師が多く、評価指標の明確化や、生活機能をより反映できる仕組みへの見直しを求める意見が示された。
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「福祉ウォッチャーT」筆者の意見

精神障害者保健福祉手帳は、以下のどちらかによって交付される。

  1. 医師の診断書
    • 診断書の内容に基づき、都道府県等が手帳の等級を決める
  2. 年金証書(精神の障害による障害年金)
    • 手帳の等級は、障害年金の等級と揃えられる

今回は、「医師の診断書」に基づいて手帳を交付する場合の課題である。

私はこのニュース記事を読んで、次の2つのことを感じた。

  1. 「医師の診断書」だけで適切に等級を判定できるのか
  2. 手帳制度のさらなる社会的理解が必要

以下、これらを具体的に深堀りする。

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1.「医師の診断書」だけで適切に等級を判定できるのか

1つ目は、「医師の診断書」だけで、申請者の置かれている状況を一通り把握し、適切に等級を判定できるのか、ということである。私は現実的には困難だと思う。

申請者の病状に関わる部分は、主治医の医学的見地に基づき、一定程度は診断書に反映できるだろう。それでも、こころの病気(精神疾患・精神障害)は、外見からは分からない。また、検査しても明確にならないことがある。

主治医は日々の診察の中で、申請者やその家族などから話を聞き、状況を判断することになる。だが、その情報だけで正確に把握するには限界があると思われる。

それに加えて、申請者の実際の生活や社会参加の状況を、主治医がすべて把握するのも、おそらく困難だろう。毎日申請者のところに訪問診療するのは、とうてい現実的ではない。

結局主治医は、申請者について、自ら把握している範囲のことしか診断書にまとめられない。把握し切れていない申請者の「生活の困難さ」が、ひょっとしたらあるかもしれない。

そうなると、十分な情報を基に等級判定が行われない事態も考えられるのである。

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2. 手帳制度のさらなる社会的理解が必要

2つ目は、精神障害者保健福祉手帳について、さらなる社会的理解が求められるのではないか、ということである。

例えば、主治医が手帳の申請を勧めても、患者やその家族が断るケースでは、次のような要因が考えられる。

患者側で申請をためらう要因の例
  • 手帳を持つことによる各種支援制度を、患者側が十分理解していない。
    • 支援制度・サービスが受けられることが分かれば、手帳の申請に至る可能性がある。
  • 患者側が手帳所持に対する抵抗感を抱いている。
    • 法的に「精神障害者」と扱われることの抵抗感(スティグマ)
    • こころの病気に関する偏見

一方、主治医が(本意ではないが)手帳の診断書を書かざるを得ないケースでは、以下の要因があるかもしれない。

医師側で診断書の作成が難しくなる要因の例
  • 手帳制度に関する主治医側の理解不足
    • 等級判定の基準を十分理解していない。
    • 手帳を含む各種福祉制度の趣旨を誤解している。
  • 主治医と患者・家族などとのコミュニケーション不足
    • 主治医側と患者側の状況認識にズレが生じている。
    • 患者側が社会保険労務士などの第三者に頼らざるを得ないことも。

私はないとは思いたいが、中には不正に手帳をもらおうとする方がいるかもしれない。例えば、「困りごと」を大袈裟に伝えているかもしれない。

患者側・医師側双方ともに、精神障害者保健福祉手帳の趣旨や目的についての理解が浸透すれば、上記のような課題は改善する可能性がある。

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まとめ

精神障害者保健福祉手帳は、本来「生活の困難さを抱える人を支援につなげるための制度」であり、必要な人が確実に利用できることが何より重要である。

しかし現状では、医師の診断書だけで等級を判定する仕組みや、制度そのものへの理解不足など、いくつかの課題が残っている。

今後、この制度をより適切に運用していくためには、少なくとも次の2点が欠かせないと考える。

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1.「医師の診断書」のみで等級判定する仕組みの見直し

医師が診察の中で把握できる情報には限界がある。そのため、必要に応じて行政の精神保健福祉士が申請者に直接話を聞いたり、日頃から関わる支援者の意見を取り入れたりする仕組みが求められる。

また、等級判定の場に精神保健福祉士を加えることで、生活状況や社会参加の実態をより適切に反映できるようになるだろう。

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2. 手帳制度について、社会全体で理解を深めること

手帳を持つことで利用できる支援制度を知らずに申請をためらう人もいれば、医療・福祉関係者の側に制度理解の不足がある場合もある。

そのため、当事者・家族、医療機関、福祉機関、行政、そして社会全体に向けて、制度の趣旨や利用できる支援を丁寧に伝えていく必要がある。

パンフレットの整備、研修の実施、WebやSNSを活用した周知など、多様な手段を組み合わせることで、必要な人が手帳を利用しやすくなると考える。

なお、当ブログでは、精神障害者保健福祉手帳に関する解説をシリーズでまとめている。ご興味のある方は、ぜひ以下の記事もあわせてご覧ください。

精神障害者保健福祉手帳の解説」シリーズ記事一覧を見る

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