Advertisement

強度行動障害など精神科入院対象見直し――地域移行の受け皿と当事者の声【ニュース紹介11】

記事内に広告が含まれています

2026年3月13日 更新

  • 「ニュース紹介」記事リンク集の場所を移動しました。
  • その他細かい修正・変更を行いました。
    • 目次の追加
    • 広告表示の調整
    • 記事末尾のリンク集の変更

今回のニュース紹介とその概要

今回取り上げるニュース

今回は強度行動障害など一部の病気・障害を、精神科病院への入院ではなく地域で対応する方針を検討しているというニュースを取り上げる。地域で受け入れる場合の課題に国はしっかり向き合えるのだろうか。

Advertisement

ニュースの要旨

  • 厚生労働省は、強度行動障害の人など現状の入院治療では改善が難しいとされる人について、精神科病院の入院ではなく地域や施設での支援に移行する方針を検討している。
  • 現在、強度行動障害の人が地域での受け入れ先がなく精神科病院に入院するケースがある。そのため、こうした人を地域で支えるために、24時間対応や短期入所(障害福祉・介護保険)との連携など機能を強化した訪問看護事業所を創設する構想が示された。
  • 一方で、支援内容が医療偏重にならないかという懸念もある。依存症摂食障害自殺企図のある人、ひきこもりなど、幅広い精神的・行動的課題を抱える人もこの訪問看護事業所の支援対象に含めるべきという意見が出ている。
Advertisement

「福祉ウォッチャーT」筆者の意見

意見の要旨

  • 強度行動障害を含む情緒や行動に困難を抱える人も、入院治療の効果が見込めない場合は、地域で暮らす選択肢が保障されるべきである。
  • より多くの精神科病院からの退院者を地域で受け入れるためには、精神科訪問看護の強化に加え、住まいや日中活動の場を提供する障害福祉サービスの拡充が必要である。
  • 強度行動障害など実際の当事者の希望や想いを最大限に尊重しながら、地域移行・退院促進に向けた取り組みを丁寧に進めたい。
Advertisement

入院治療の効果が見込めないなら、退院の選択が自然

厚生労働省のいう入院治療の効果が見込めない人を精神科病床の対象外にする方針について、私はおおむね納得している。むしろ、それが当然の方向性だと考える。

今後、精神科病床を減らす流れの中で、入院治療の意味がない人に退院してもらうことは避けて通れない。長期にわたる不必要な入院を続けることは、本人の生活の自由を奪い、人権の問題にもつながる。

もちろん退院にあたっては、本人の理解を得ること、そして地域に十分な受け皿を整備することが不可欠である。

Advertisement

精神科訪問看護だけでは生活を支えきれない

その「受け皿」の1つとして、精神科訪問看護の強化が挙げられている。退院後も精神医療を要する人がいるため、地域での継続的な支援には訪問看護は重要な役割を果たすと考えられる。

しかしそれだけでは十分とは言えない。退院した人が安心して暮らすためには、障害福祉サービスの拡充も欠かせない。

例えば、グループホームなどの住まいの支援や、就労継続支援生活介護などの日中活動の場も、地域生活を支える重要な要素となる。

Advertisement

当事者を置き去りにしない形の取り組みを

今回のニュースに対して、以下のような懸念の声がある。

  • 「『地域で受け入れる』といっても、本当に受け入れられるのか」
  • 「家族や福祉職員が疲弊しないか」

私はこれらの不安に共感する部分はある。

それでも、当事者の希望や想いを置き去りにしてはならない。精神的・行動的課題があっても、次のように感じる人はきっといるはずだ。

  • 「退院して地域で暮らしたい」
  • 「精神科病院での生活は苦しい」

このような声に耳を傾けるためにも、“Nothing About Us Without Us”(私たちのことを私たち抜きで勝手に決めないで)という言葉が、今こそ重みをもつのではないか。

就労継続支援B型事業所を運営する人の言葉から考える障害者の就労【ニュース紹介16】
就労継続支援B型事業所を運営する人へのインタビュー記事をもとに、障害者の就労支援について整理・考察しています。就労を通じた社会とのつながりや、福祉を幅広く捉える視点について、筆者の立場からまとめました。

「一般就労と利用者との往復」で報酬加算――それは福祉事業と言えるのか?【ニュース紹介15】
障害者就労支援を行うA型事業所で、利用者の「一般就労と事業所利用の往復」によって報酬加算――それは本当に福祉の目的に沿うのか?制度のスキを突いた仕組みと、支援の本質を問い直す。

【ニュース紹介14】賃貸入居拒否をなくすために――障害者差別解消法の周知と偏見の是正を
東京都内で精神障害者が賃貸入居を拒否された事例を紹介。障害者差別解消法や憲法の権利侵害の可能性、偏見是正の必要性を問う。

【自民党総裁選】物価高対策は待ったなし 生活保護改善で暮らしを守れ【ニュース紹介13】
「暮らしを守ってほしい」――物価高に苦しむ声が広がる中、生活保護改善と即時の物価高対策を求める視点を紹介する。

鈴鹿市の生活保護行政に疑問『我々も悪かった』発言が示す課題とは【ニュース紹介12】
三重県鈴鹿市の生活保護行政に突きつけられた深刻な課題。市長会見での発言を手がかりに、申請者の尊厳を守るための筆者の改革案を示す。

強度行動障害など精神科入院対象見直し――地域移行の受け皿と当事者の声【ニュース紹介11】
今後、強度行動障害など一部の病気・障害を精神科病院の入院対象から外すというニュースの紹介と、地域の受け皿と当事者の声という観点から筆者の私見を述べている。
過去のニュース紹介はこちらから
【ニュース紹介10】ひきこもり経験者がひきこもりに触れたニュースを読んで【社会的排除】
ひきこもりの人に対する社会的排除に関するニュース記事の紹介と、脱ひきこもりについての筆者の私見を簡単に述べている。

【ニュース紹介9】いじめ被害者を守るために学校はどうすべきか【体験を基にした私見】
いじめ対応に問題があった国立小中一貫校を報じたニュース紹介と、必要ないじめ対応についての私見を述べている。

【ニュース紹介8】生活保護バッシングはやめませんか?
毎日新聞やYahoo!ニュースで配信された「生活保護バッシング」に関するニュース記事について私見を述べている。

【ニュース紹介7】障害があると犯罪被害者給付金がもらえないのはおかしい
共同通信社が報じたニュース「障害児に犯罪給付金ゼロ、長野 事件前後で等級変わらず」について、障害者差別解消の観点を踏まえて私見を述べている。

「不登校は病気と診断」する医師の記事を読んで【ニュース紹介6】
「不登校は病気と診断」する「不登校専門クリニック」の飯島慶郎医師のニュース記事を読んで筆者が感じたこと

【障害者の地域生活】グループホームのニュースを見て【ニュース紹介5】
障害者グループホームに関するニュース2つと、グループホームの概要、ニュースを読んで私が思ったこと

自閉スペクトラム症の子どもの特性・関わり方についての記事を見て【ニュース紹介4】
ASD(自閉スペクトラム症)を持つ子どもの特性・関わり方を解説したニュース記事の紹介と、この記事に関する私の経験・考えについて。

鉄道の精神障害者運賃割引が本格導入→今後の影響は?【ニュース紹介3】
JRグループや一部大手私鉄が精神障害者運賃割引を今後開始する発表をしたニュースと、その影響についての私の見解。

高齢者・障害者など要支援者に対する居住支援について【ニュース紹介2】
高齢者・障害者など支援を要する人々に対する居住支援に関するニュース記事の紹介と、ニュース記事に対する私見

【精神医療は大丈夫?】精神科病院で入院患者が亡くなった件【ニュース紹介1】
精神科病院における身体拘束により女性が命を落としたというニュースの紹介とそれに対する私の意見。
Advertisement

最後までご覧いただきありがとうございました。以下の記事もぜひあわせてご覧ください。

精神医療に関心がある方はこちら

こころの病気(精神疾患・精神障害)が気になる方はこちら

または「テーマ別ブログ記事まとめ」にお進みください。

【PR】メンタルヘルスを幅広く知りたい方へ

メンタルヘルス(こころの健康やこころの病気)に関して、多面的に理解できるように構成された書籍シリーズです。医学だけでなく、心理・社会などさまざまな切り口から捉えたい方の補足資料として参考になります。

もちろんすべてを通じて読む必要はなく、気になる巻を手に取る形でも問題ありません。

こころの健康を、ライフステージ・ストレスとの関係・脳の働きにそれぞれ着目して捉えています。

具体的な事例とともに、メンタルヘルスの諸課題を考えたい方に向けた1冊です。

精神医学の基本を踏まえて、こころの病気(精神疾患・精神障害)を体系的に整理しています。

コメント

Advertisement
タイトルとURLをコピーしました