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【ニュース紹介14】賃貸入居拒否をなくすために――障害者差別解消法の周知と偏見の是正を

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今回のニュース紹介とその概要

障害者にとって住まい探しは「壁」

障害者差別解消法が施行されてからも、障害を理由とした賃貸住宅の入居拒否は後を絶たない。東京都内で起きた今回の事例は、制度の周知不足と偏見の根強さを改めて問いかけている。

今回取り上げるニュース

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ニュースの要旨

  • 東京都内の精神障害のある男性(36)が、交際中の同じく精神障害を持つ女性(26)と賃貸物件への入居を申し込み、当初「審査承認」を受けたが、障害を伝えた後に契約を拒否された。
  • 源泉徴収票の「障害の有無」欄を見た貸主が詳細を確認し、診断名を伝えた翌日に契約見送りを通知。管理会社は「近隣住民への配慮依頼の準備のため、入居者が自ら申告すべき」と主張した。

「福祉ウォッチャーT」筆者の意見

今回の入居拒否に関する法的問題

1. 障害者差別解消法の「不当な差別的取扱い」および「合理的配慮」の欠如

このニュースを読む限り、貸主側が男性の精神障害を理由に入居を断った可能性が高い。障害を理由に入居を拒否することは、同法が禁止する「不当な差別的取扱い」に該当する。また合理的配慮の提供義務にも反する可能性が高い。

2. 憲法で定められた「居住移転の自由」の侵害

日本国憲法第22条で、「居住移転の自由」が定められている。障害を理由に制限することは、この権利の侵害に当たる恐れがある。

3. 個人情報保護法やプライバシー権の侵害の可能性

源泉徴収票の障害欄をもとに詳細を問いただす貸主の行為は、本人の同意なくセンシティブな情報を取得・利用することになり、法的問題を含む。

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社会的・倫理的な問題点

1. 「障害の申告」を強いる管理会社側の対応

入居希望者に障害の有無を自ら申告するよう求める姿勢は、差別的前提を含んでいる。また心理的負担を強いる。

2. 障害への偏見やスティグマの再生産

「近隣住民への配慮」という名目が、障害者を潜在的なトラブル要因とみなす偏見を強める。また社会的スティグマを広げる危険がある。

3. 制度の周知不足と事業者教育の欠如

法制度やガイドラインが存在しても、貸主・管理会社・仲介業者がその内容を十分理解していない可能性があり、現場で差別防止策が機能していない。

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今後どうすれば良いのか?

行政による制度周知、政府の徹底啓発、精神疾患への理解促進が必要である。

東京都や男性がお住まいの市町村の障害福祉関連部署は、貸主や管理会社などに障害者差別解消法「居住移転の自由」の趣旨を説明し、現場での差別防止を徹底すべきである。

また、精神障害があるからといって必ずしも近隣住民の特別な配慮を要するとは限らないことを理解し、精神疾患に関する正しい知識を広める啓発活動を粘り強く続ける必要がある。

まとめ

  • 今回の入居拒否は、障害者差別解消法や憲法の「居住移転の自由」個人情報保護法などに抵触する可能性が高い。
  • 貸主や管理会社の対応は、精神障害当事者を傷つけるだけでなく、偏見スティグマを再生産する危険性がある。

今後は、障害者差別解消法の趣旨や精神疾患に関する正確な情報を広く周知し、社会全体で障害者差別のない住まい探しを実現していく必要がある。

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最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事もあわせてご覧ください。

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