前編・後編の総まとめ
もし精神保健福祉士になりたいなら強い意志が必要
精神保健福祉士の国家資格取得を検討する場合、発達障害や精神障害・精神疾患のない「健常者」ですら、以下のことを含めて事前に考えるべきことがいくつもある。
- 他人との繊細な意思疎通が苦にならないかどうかや
- 高度な人権意識を身に付けられるかどうか
- 自分自身の心のケアができるかどうか
発達障害や精神障害・精神疾患を持つ人の場合、上記に加えて少なくとも以下の事項もあらかじめ想定する必要がある。
- 学習自体を最後まで継続できるかどうか
- 実習時などの自らの病気や障害の特性に応じた対策
- 国家試験を無事に受験するための取り組み
さらに精神保健福祉士の資格を無事取得した後のことも事前の検討事項になる。「病気・障害がある」という健常者にはなく自分の努力ではどうしようもない理由で、精神保健福祉士の資格があっても活用しづらいケースも現実に存在する。
したがって、発達障害や精神障害・精神疾患の当事者が精神保健福祉士の資格を取得したい場合、まずは精神保健福祉士の資格取得までのこと・その後のことの両方をよく考えて欲しい。その上で精神保健福祉士の資格を取ることに決めた場合は、強い覚悟・強い意志をもって挑戦して欲しいと私は思う。
私は経験者として精神保健福祉士の国家資格取得を応援します
精神保健福祉士の支援対象である発達障害者や精神障害者で、精神保健福祉士の国家資格を取り活動する人が増えれば、今後の精神保健医療福祉のあり方が変わる可能性がある。
日本ではかつて精神障害者が精神科病院にいわば「強制隔離・収容」される時代があった。精神障害・精神疾患当事者の中には、社会に出たくても諦めざるを得ない人もいた。つまり社会的排除の対象だった。
政府が精神障害者の退院支援・地域移行に取り組むようになった現在も、精神障害者の地域生活に貢献する公的制度・サービスの整備や改善は遅い。
例えば精神障害者が利用できる「公共交通機関の運賃割引」や「福祉医療費助成」は、身体障害者・知的障害者と比較して受けられるサービス内容が劣る部分がある。
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例えばJRグループなど一部鉄道事業者の運賃割引制度は、身体障害者・知的障害者に対してしか用意していない。それと地方自治体が行う福祉医療費助成は、身体障害者・知的障害者向けと精神障害者向けで制度が分けられ、後者の方が助成内容が劣ることがある。
※2024年7月19日追記:JRグループなど一部鉄道事業者も精神障害者向けの運賃割引制度を導入済み、または導入する予定




また発達障害者の存在がよく知られるようになったのは比較的近年である。国会で「発達障害者支援法」が成立したのは2004年である。発達障害者の中には社会的成功を収める人も確かにいるものの、そうでない人の方が圧倒的に多い。
発達障害者に対する各種支援はまだまだ十分ではない。特に発達障害に関する知識があり診察できる医師の少なさは社会問題になっている。
上記のような改善が求められる様々な問題に対して、精神保健福祉士の国家資格を持つ発達障害や精神障害・精神疾患の当事者が発言することは、健常者の精神保健福祉士の発言と比べてもその重みが一段と増す。実際に困ったことや社会問題に直面している当事者だからこそ、発言により説得力が出てくるのである。
もし発達障害や精神障害・精神疾患を持つ人で、様々なリスクを承知の上、強い覚悟と意志をもって精神保健福祉士の国家資格を取りたいと思う人がいれば、私自身はぜひ応援したいと思う。








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