要支援者の居住支援に資する「居住サポート住宅」
このニュース記事にもある通り、高齢者や障害者が賃貸住宅を借りようとする場合、貸主側が借主の孤独死や家賃滞納などのリスクを懸念して、入居を認めないことがある。一方で高齢者や障害者が「地域の賃貸住宅を借りて生活したい」というニーズはより高まる見込みである。
高齢者の数は、高齢化社会の進展により今後もどんどん増加する。介護施設やグループホームだけでなく、賃貸住宅に住みたいという高齢者の数も増えると思われる。
それと障害者の生活の場について、「施設から地域へ」という流れが少しずつ進んている。障害福祉サービスなどを利用しながら地域で生活しようとする障害当事者も増加するだろう。
支援を要する借主側の「地域で暮らしたい」という希望と、貸主側の「トラブル時のリスクを負いたくない」という不安は確かに相反している。
「居住サポート住宅」制度によって借主側と貸主側の間に地域生活を支援する社会福祉法人やNPO法人など支援者が入れば、入居を検討している要支援者にとっては地域生活への不安や困りごとが軽減されるはずである。
それと貸主側にとっては仮にトラブルが発生したとしても、間に入る支援者の対応が期待できる。そのため要支援者の入居に対する抵抗感の減少につながりそうである。要はお互いの安心納得にもつながる。
要支援者側・貸主側以外にもある居住支援のメリット
要支援者に対する居住支援は、要支援者側・貸主側だけでなく、行政側にとっても利点がある。施設ではなく地域社会で対応する高齢者や障害者の数を増やせば、すでにある社会資源や福祉にかける費用をより効率的に利用できるようになるからである。
高齢者福祉の視点でいえば、入所施設の定員には限度がある。もちろん必要十分な人数を施設で受け入れられるようにしたいが、現実問題として入所施設の建設や運営には大きな費用が掛かる。
そうであれば、施設入所でなくても対応できる高齢者に対しては、十分な支援をしながら地域で暮らしていただく方が、施設側が入所を必要とする高齢者をより多く受け入れられることになる。それと入所施設の建設数を抑制できればコストカットにもつながる。
障害者福祉の観点では、上記の理由に加えて先ほど述べた「施設から地域へ」という話も関係してくる。特に精神科病院の入院患者に対する退院支援・地域移行を進めるためには、退院後の住まいの問題を解決しなければならない。
退院後に地域の中で住む場所がなければ、医学的には退院できる患者も退院しようがない。その解決策の一つが「居住サポート住宅」制度ということもできそうである。
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