当記事は前後編の前編です。当記事をお読みいただいた後、引き続き後編の記事を読んでいただけると幸いです。
2024年8月4日更新
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はじめに
当記事の要点
- 障害年金は「障害」に対して給付されるものであり、「障害が理由で働けないこと」に対して給付されるものではない。
- 「精神の障害」など、障害年金が受給できるかどうかの判断で、就労状況が考慮される場合がある。しかし障害年金は制度上働いている人を排除してはいない。
- 「働いているが不安定さがある人」「就労支援を受けることで安定して働ける人」が障害年金をもらうことは制度上可能だと私は考えている。
本論に入る前に
身体や精神に何らかの障害がある人にとって、障害年金は所得補償の一つになる。特に障害によって就労に制限のある人・就労不可能な人にとっては大事な収入源になる。
現在新たに障害年金をもらうためには、原則として初診日の要件・保険料納付の要件とともに、「申請者の障害が法令で定める程度の状態かどうか」の要件がある。
また精神障害で受給している場合など、障害年金の給付に期限がある人もいる。(有期認定)その期限を更新して引き続き障害年金を受給しようとすると、障害の状態が変化しているかどうかが確認される。
そこで「働いている場合、障害年金はどうなるのか」という疑問を持つ人がいる。中には以下のように思う人もいる。
それと有期認定の障害年金を受給している人で、「障害年金の支給を打ち切られないようにするために働くことを控える」人の存在を私は耳にしたことがある。
確かに就労状況は障害年金の受給や継続を左右することがある。現に一部の障害年金の診断書には、「就労状況」の記載欄がある。それと新規で障害年金を請求する場合、「病歴・就労状況等申立書」に就労状況を記載する必要がある。
だが「就労=障害年金はもらえない」とか「就労控え」の判断は本当に賢明なのだろうか。障害年金制度のいう「障害」の定義や、障害年金と就労の関係について、正しく理解する必要があると私は感じる。
そこで私は前編・後編の2部を通じてこの障害年金と就労の関係について述べる。具体的には、働きながら障害年金をもらえるかどうかについて、日本年金機構の説明や「国民年金法」などの法令、「障害認定基準」等の資料をそれぞれ読み解いた上で書いていく。
記事の構成
前編となる当記事では、2ページ目・3ページ目で、日本年金機構がWebサイト等で行っている説明と、「国民年金法」および「厚生年金保険法」に基づく「障害等級表」をそれぞれ取り上げる。障害年金のいう「障害」について考える。
その後後編の記事に移り、「障害認定基準」と、この基準を補完する「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の2つを取り上げる。後編の最後で話をまとめる。それぞれの資料を読み解いた結果を、私の意見を交えながらまとめている。
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