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「一般就労と利用者との往復」で報酬加算――それは福祉事業と言えるのか?【ニュース紹介15】

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今回のニュース紹介とその概要

報道された「一般就労の往復」――福祉の目的は守られているか?

「これで報酬がもらえてしまうのか」――報道を見て、私はそう感じた。障害者就労支援をうたう事業所が、障害福祉サービス報酬の加算金を繰り返し過大に受け取ったという。

利用者の幸せや社会参加ではなく、事業所の利益が優先されていたとすれば、それは本当に福祉の目的に沿うのだろうか。

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今回取り上げるニュース

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ニュースの要旨

  • 大阪市の福祉関連会社「絆ホールディングス」傘下の3つの就労継続支援A型事業所が、障害福祉サービス報酬の加算金を不正に受給していた疑いがある。大阪市の調査によれば、2024年度以降、20億円超の過大受給の可能性があるとされている。
  • 同一の障害者を一度「一般就労」させた後、再び自社のA型事業所の利用者として雇用する手法を繰り返し、加算金を複数回請求。この手法は制度の趣旨に反する可能性があり、厚生労働省は2024年4月に制度を見直している。
  • 絆ホールディングスは「法令を遵守している」と主張している一方、大阪市は不適切な受給と判断し、返還請求を検討中。厚労省も制度の趣旨に反するとの見解を示しており、今後の行政対応が注目されている。

「福祉ウォッチャーT」筆者の意見

これで障害福祉サービス報酬を得られるのか

私は今回の「読売新聞オンライン」の報道を見て、率直に次のように感じた。

「このようなずさんな取り組みでも障害福祉サービス報酬をもらえてしまうのか」

今回の報道に基づけば、絆ホールディングス傘下の就労継続支援A型事業所の利用者にとっては、事業所の都合で一般就労と利用者という立場を「往復」させられただけで、実質的には一般就労ができていない。

一方事業所にとっては、利用者を往復させることで報酬の加算金を得られる。利用者に一般就労で通用できるだけの訓練の場を提供したのだろうか。

私には、利用者をまるで「金儲けの駒」のように扱っていたように映る。福祉事業と称した「不当な障害福祉サービス報酬ビジネス」とも表現できそうである。

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利益は必要だが、利用者や社会に還元する姿勢は?

私は障害者福祉を含む福祉事業の運営姿勢について、以下のように考えている。

  • 事業を継続するための利益は必要だが、経営者個人の利益追求は福祉の本旨に沿わない。
  • 利益は従業員にはもちろん、利用者や社会にもできる限り還元すべき。

そもそも「福祉」は、誰もが幸せに暮らせることや、より良く生きられることを指す。

例えば障害のある方向けの就労継続支援A型事業所にとっては、就労支援を通じて、利用者がやりがいを持って働き続けられることや、障害者社会参加の機会を増やすことなどが主な目標だろう。

決して経営者個人が利益を得たり豊かになるビジネスや金儲けが目的ではないのである。

終わりに

まとめ

  • 利用者を「一時的に一般就労させる」ことで報酬を請求する仕組みは、支援でなく操作であり、福祉の名を借りた利益構造に過ぎない。
  • 福祉事業は、制度を活用すること以上に、制度の背後にある「人の暮らし」へのまなざしが問われる営みである。支援者の姿勢が、制度の意味を決める。
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「福祉」の意味を考え直す機会に

私はこの「絆ホールディングス」の件をきっかけに、社会全体が『福祉』とは何か」ということを問い直すべきだと考える。特に私を含めて、福祉に関わる人々は、今一度このことをよく考えなければならない。

  • 利用者の幸せや利益になっているか?
  • 利用者の今後のより良い暮らしにつながるか?

上記の2つは、福祉事業に携わる人々にとって欠かせない視点だと思う。

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