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精神障害者保健福祉手帳の解説⑤―手帳が使いづらいところ4選【私見】

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精神障害者保健福祉手帳が使いづらい制度・サービス

次の4つは正直恩恵が小さい・活用しづらいと私は思う

  1. 一部鉄道事業者の障害者運賃割引
  2. 一部大手通信キャリアの通信費用に関する障害者割引
  3. NHK受信料の減免
  4. 自動車税・軽自動車税の減免
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1. 一部鉄道事業者の障害者運賃割引

鉄道事業者の障害者割引は近年対象者を拡大し、JRグループや大手私鉄も精神障害者保健福祉手帳所持者に対する割引を開始した。

ただし利用条件が厳しい鉄道事業者が多い。

  • 1人で乗車する場合は割引しない、または長距離の利用に限る
    • 1人での利用では片道100kmを超える場合のみ割引
    • 介助者がいる場合は初乗りから割引
  • 乗車券は割引になるが、特急券は割引にならない
  • 購入時に窓口対応が必須の鉄道事業者も

例えば1人で近所に通院したり買い物したりする場合、多くは割引が受けられない。

それに加えてすでに定着しているインターネットによる予約やICカードによる乗車について、障害のある人にとっては現在も制約が多い。

  • 交通系ICカードでは障害者割引を利用できない場合もある。
    • Suicaで乗車する場合、出場駅の窓口で精神障害者保健福祉手帳を提示する必要がある。(JR東日本 発行年不明a)また「障がい者用Suica」は、「第2種」の記載がある精神障害者保健福祉手帳所持者には発行していない。(JR東日本 2025)
    • スルッとKANSAIが発行する特別割引用ICカードは、2025年9月時点では精神障害者保健福祉手帳所持者には発行していない。(発行年不明)
  • 一部の新幹線のIC乗車に対応していない。
    • 東海道・山陽・九州新幹線向けの「エクスプレス予約」「スマートEX」におけるチケットレス乗車(EX-ICカードや交通系ICカードの利用)は障害者割引に非対応(JR東海 2024)(JR東海 2025)
    • 東北・上越・北陸新幹線等で利用できる「えきねっと」における「新幹線eチケット」サービスは、2025年9月時点では精神障害者保健福祉手帳には対応していない。(JR東日本 発行年不明b)

上記の状況があるため、ここに記載した。

今後は1人での乗車でも初乗りから割引する事業者が増えて欲しい。それとICカード乗車時の障害者割引の対応拡充は急務だろう。

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一部大手通信キャリアの通信費用に関する障害者割引

大手通信キャリアのうち、NTTドコモ・KDDI(au)•ソフトバンクの3社は、精神障害者保健福祉手帳所持者に対して障害者割引を行っている。

  • NTTドコモ:ハーティ割引
  • KDDI:スマイルハート割引
  • ソフトバンク:ハートフレンド割引

しかしどの料金プランに対しても障害者割引が適用できるというわけではない。例えば上記3社が提供する料金プランのうち、以下のような「サービスを抑える代わりに安いプラン」は障害者割引の対象にならない。

  • NTTドコモ:ahamo・ドコモmini
  • KDDI:povo・UQ mobile
  • ソフトバンク:LINEMO・Y!mobile※

Y!mobileの「ハートフルサポート」は2014年7月31日をもって新規受付終了。それ以前から契約している人のみ継続して利用できる。(ソフトバンク 発行年不明a)

一方楽天モバイルやいわゆる「格安SIM」(IIJmioやmineoなど)といった「障害者割引を提供していないものの元から料金が安い」通信事業者もある。

上記3社の障害者割引を利用できるプランではなく、楽天モバイルや「格安SIM」を選ぶ方がよりニーズに合い実際の通信料金が安くなる人も多いため、ここに記載した。

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NHK受信料の減免

公共放送のNHKは、精神障害者保健福祉手帳所持者に対して受信料の減免を行っている。その基準は以下の通りである。

減免の種類内容
全額免除市町村民税非課税の精神障害者
精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方がいる世帯で、かつ、世帯構成員全員が市町村民税(特別区民税含む)非課税の場合
(筆者注:等級は不問)
半額免除重度の精神障害者
精神障害者保健福祉手帳をお持ちで、障害等級が重度(1級)の方が、世帯主で受信契約者の場合
NHK(発行年不明)を基に筆者が抜粋して作成

この基準を読み解くと、「全額免除」または「半額免除」に該当する世帯は案外少ないと思われる。

例えば両親と同居する精神障害者がいる世帯は、両親のどちらか一方でも住民税が課税ならば「全額免除」「半額免除」のどちらも対象にはならない。

世帯主が父親になる場合は、精神障害者本人が持つ手帳の等級が1級でも対象外である。

次に1人暮らしの精神障害者は、働いていてもし少額でも住民税が課税されていれば、「全額免除」「半額免除」のどちらも対象にならない。

仮に手帳が1級ならば「半額免除」の対象になる。しかし1級の手帳を持ちながら住民税が課税されるほど働く人は極めて少ないと思われる。

したがってNHK受信料の減免措置を利用できない精神障害者も多いと思われることから、ここで取り上げた。

今後は世帯の中に精神障害者保健福祉手帳の所持者がいれば、例えば下記のような手帳の等級に応じて受信料の減免が受けられる制度に変更すべきだろう。

  • 1級:全額免除
  • 2級・3級:半額免除
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自動車税・軽自動車税の減免

多くの自治体では精神障害者保健福祉手帳所持者に対する自動車税・軽自動車税の減免制度がある。

ただし自治体によって細かな違いはあるものの、ほとんどは1級の手帳を持つ人のみ対象としている。2級・3級の手帳では自動車税・軽自動車税の減免対象にはならない。

細かな違いの例:自立支援医療制度(精神通院医療)を利用していること・本人運転は不可など

自動車税・軽自動車税は年1回の支払いではあるものの、まとまった金額になる。それにも関わらず減免対象になる手帳所持者が少ないと思われるため、この記事で取り上げた。

今後は2級・3級も減免対象にすべきである。また本人が車を運転する場合も減免を認めるべきである。

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