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合理的配慮とクレームの違い~障害者差別解消法改正を機に考える~

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まとめ

合理的配慮の理解を深めるためには

障害当事者・事業者・社会の三者の理解が必要

私は障害者差別解消法のいう合理的配慮について、配慮を受ける障害当事者側も配慮を提供する事業者側もお互いに納得できる方が良いと思っている。

そのためにはまずこの合理的配慮の法的定義を両者ともに十分理解しなければならない。それに加えて障害当事者や事業者の置かれている社会の理解も必要不可欠だろう。

合理的配慮に関する社会的理解が十分でないからこそ、合理的配慮を求めたり提供を受けたりする障害者が「過剰な要求」「クレーム」などと「不当な」社会的な非難の対象になってしまう。

それでは障害者が委縮してしまい、合理的配慮を求めづらくなる。さらにいえば、そのような社会の雰囲気自体が障害当事者にとっての「障壁」「バリア」になる。

その結果障害者が社会から締め出されてしまい、障害者差別解消法が目指す障害者差別の解消共生社会の実現からかえって遠ざかるのである。

この状況を変えるためには、政府や地方自治体がより啓発活動に取り組まなければならない。改正障害者差別解消法が施行される2024年4月は、政府や地方自治体などがより啓発活動に力を入れる良い機会になると私は考えるが、どうだろうか。

「障害者に関する世論調査」を見て

実際内閣府が令和4年(2022年)11月から12月にかけて実施した「障害者に関する世論調査」によると、障害者差別解消法を「知っている」と答えた人が24.0%(小計)※1、「知らない」と答えた人は74.6%だった。(内閣府 2023:22)

また障害のある人に対する配慮や工夫が行われない場合、障害を理由にした「差別に当たる場合があると思う」と答えた人が64.7%(小計)※2、「差別に当たる場合があると思わない」と答えた人が33.1%(小計)いた。※3(同書:26)

この「障害者に関する世論調査」の結果より、障害者差別解消法をそもそも知らない人が全体のほぼ3/4を占めている。それと合理的配慮を提供しないことが差別になると思わない人も全体の3割以上もいるのである。

注釈について

※1:「法律の内容を、改正法の内容も含めて知っている」(2.0%)・「内容は知っているが、改正されたことは知らない」(3.7%)・「内容は知らないが、法律があることは知っている」(18.3%)の合計

※2:「差別に当たる場合があると思う」(26.8%)・「どちらかといえば差別に当たる場合があると思う」(37.9%)の合計

※3:「どちらかといえば差別に当たる場合があると思わない」(17.1%)・「差別に当たる場合があるとは思わない」(16.0%)の合計

国や地方自治体は理解を促す取り組みを

やはり国や地方自治体は、合理的配慮を定義する障害者差別解消法の存在や、障害者に対する合理的配慮の提供が法的に必要なことを、今一度社会に向けて周知しなければならない。

その上でこの社会にいる全員が合理的配慮の定義を正しく理解できるように、国や地方自治体が啓発しなければならない。それを続けることで、障害者がより安心して社会で暮らせるのではないかと私は考えている。

当ページの参考文献

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