2024年7月30日更新
- より読みやすくなるように以下の修正・追記をしました。
- 見出しの追加・修正
- 広告位置の変更
- 誤記の修正
- 世論調査を取り上げた部分を一部書き直しました。
- 参考文献の表記をより明確にしました。
- 各ページの下部に参考文献を記載
- 一部の表記を変更しました
- 「障がい」→「障害」(引用部分は除く)
はじめに
当記事の要点
- 2024年4月より、民間事業者にも障害当事者に対する「合理的配慮の提供」が障害者差別解消法に基づく義務になった。
- 合理的配慮は障害のある方にとって「バリア」になるものを取り除き、障害のない方とできる限り同じ条件で施設・サービスを利用できるようにするためのものである。
- 合理的配慮は障害者を「特別扱い」するものではない。「過剰な要求」や「クレーム」とは全く異なる。
当記事について
2016年(平成28年)4月から施行された「障害者差別解消法」は、2021年(令和3年)に改正された。この改正障害者差別解消法は2024年4月から施行され、民間事業者にとっては努力義務だった「合理的配慮の提供」が義務になった。
この「合理的配慮」が最近(2024年4月ごろ)インターネット上で話題になった。車椅子インフルエンサーの中嶋涼子氏が映画館で映画を鑑賞した後に、映画館のスタッフから今後は他館で鑑賞するよう伝えられて悔しい・悲しい思いをしたことを自身のSNSに投稿した。
すると映画館側の運営事業者「イオンシネマ」は、「不適切な対応」だったということで謝罪文を掲載した。映画館のスタッフが中嶋氏に対して「合理的配慮」に基づいた建設的な対話を十分しなかったことが原因だと思われる。
ところが中嶋氏はSNSユーザーの一部から「過剰な要求」や「クレーマー」などという非難を浴びたのである。
私はこの中嶋氏の件から、
「そもそも障害当事者が合理的配慮を求めることが、『クレーム』『わがまま』『過剰な要求』になるのか」
という疑問を持った。私は決してそうは思わない。
それと私は
「当事者も事業者もこの合理的配慮について正しく理解して、納得して合理的配慮を受けたり提供したりできる方が良い
と考えている。さらに私たちのいる社会側の理解も大事である。
そこでこの記事では、「合理的配慮」と「クレーム」などの違いについて考える。もしかしたら当記事が障害当事者だけでなく、合理的配慮を提供する事業者の方やそれ以外の一般の人々にとっても参考になるかもしれない。
当記事の構成
次の2ページ目で、障害者差別解消法でいう「合理的配慮」とはそもそも何かということを述べる。またこの合理的配慮と「クレーム」「わがまま」などとの違いについて触れる。3ページ目で、当記事をまとめつつ、この合理的配慮の理解を深めるための私見を述べる。
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