発達障害・精神障害当事者の精神保健福祉士取得の是非【私の持論】
精神保健福祉士の業務の特徴
精神保健福祉士は、精神科医療機関や障害福祉サービス事業所で、精神疾患・精神障害を持つ方の支援を行うことが多い。もちろん発達障害のある方や、引きこもり・いじめ被害者など各種メンタルヘルスに関わる課題を持つ方に対する支援も増加している。
精神保健福祉士として勤務する人は、このように「こころに何らかの傷を抱える人々」と関わることが多い。そのため福祉・医療・教育などの対人サービスの仕事の中でも、高度で繊細なコミュニケーションが求められる。
それに加えて、精神保健福祉士は社会的長期入院者への対応などその資格が誕生した経緯から、人権意識の高さも要求される。さらに業務の性質上、相手の言動によって自らが心の傷を受ける機会が多い。メンタルヘルスの強さや傷ついた心に対するセルフケアも必要である。
上記のような特徴のある精神保健福祉士に、もし発達障害者や精神障害者がなろうとする場合、私は超えなければいけない高いハードルがいくつもあると考えている。
そもそも精神保健福祉士の資格取得に難しさがある
1. 日々の学習をどうするか
高いハードルは精神保健福祉士の資格を取得するまでに複数ある。発達障害や精神障害・精神疾患の当事者がこの資格を取得しようとする場合、多くは保健福祉系の大学か専門学校に入学し、学習を進めることになる。
それと通学課程だけでなく通信課程もある。発達障害や精神障害・精神疾患の当事者は、病気・障害を抱えながらの学習になる。通信課程を選択して、自分のペースで無理のない範囲で学ぶ人も多い。
通学課程・通信課程のどちらを選ぶにしても、日々やらなければならない勉強をうまくこなせるのか、ということが1つ目の高いハードルである。
通学課程で学ぶ場合は、基本的に自分のペースで学習することが難しい。発達障害や精神障害・精神疾患当事者の中には、学校側の学習ペースに合わせることが困難な人もいる。
一方通信課程で学ぶ場合は、確かに自らのペースで学習を進められる。しかし学習を進めるための意欲を卒業まで保たなければならない。意欲が下がると勉強が進まなくなり、いくらでも卒業が遅くなる。その結果学校を中退してしまう人もいる。
2. 実習をどうするか
2つ目の高いハードルは実習だろう。一定の実務経験があれば実習が免除される場合もあるが、そうでない場合は実習を受けなければならない。
精神保健福祉士資格課程の実習は2回ある。障害福祉サービス事業所と精神科医療機関でそれぞれ実習を受ける。学習を進めて何とか実習の段階まで進んだとしても、無事に2回ある実習を終えられるのかという問題がある。
ただでさえ実習の負担は大きい。実習期間中は実習先の施設で毎日朝から夕方まで実習を受講して、空き時間に実習簿を記入する作業を繰り返す。
どの実習生にも体力・気力が要求されるのだが、発達障害や精神障害・精神疾患の当事者の場合はそれらに加えて以下のことも求められる。
- 「実習施設側の理解」
- 「自らの障害特性の熟知」
実習先の理解がなければ、実習中に困りことがあっても相談しづらい。実習生は困りごとを溜めこんでしまい、実習途中でメンタルヘルスの状態が悪化してしまう。体調不良による実習中止のリスクにもなる。
それと発達障害や精神障害・精神疾患の当事者が自らの障害特性を熟知せずに実習を受講すると、思わぬトラブルを起こしてしまう可能性がある。
例えば利用者とのやり取りが上手くできず利用者に負担をかけてしまうことや、実習に必要な施設職員の指示を理解できず、施設で行われるプログラムに支障をきたしてしまうこともありうる。どちらも実習中止や実習不合格のリスクになる。
3. 国家試験を無事合格できるかどうか
何とか2回の実習を乗り越えた人は、学校卒業と国家試験を受験する段階に進む。精神保健福祉士国家試験の受験は3つ目の高いハードルだろう。
国家試験は事前に十分勉強していれば極端に難しいことはない。しかし試験対策や実際に受験する際に大きなプレッシャーに耐えなければならない。それが難しい発達障害や精神障害・精神疾患の当事者もいると思われる。
要するに…
まとめると、発達障害や精神障害・精神疾患の当事者が精神保健福祉士の資格を取得するまでには、すぐに思いつく分だけでも次の3つの大きなハードルがあると私は考えている。
- 日々の勉強
- 2回ある実習
- 国家試験




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