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精神科病院で入院患者が亡くなった件【ニュース紹介1】

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このニュースに対する意見

  • 病院側が女性に対して行った「隔離措置」「身体拘束」が本当にやむを得なかったのかどうか私は疑問に思う。
  • そもそも隔離や身体拘束は患者の心身に多大な負担を与える。それが本当に治療といえるのか?女性の遺族はこのことも問うているのではないか。
  • 精神科病院が本当の意味での「治療」を提供できる場にするためには、国が責任をもって過去に作り上げてきた精神医療の構造を転換しなければならない。

果たして本当に隔離や身体拘束が必要だったのか

 私がこのニュースを見る限り、30日夜の段階で女性が「しっかりとした足取りで歩ける」状態だったのであれば、わざわざ隔離しなくても良かった可能性がある。もちろんカメラに映らない場所で「興奮・多動の状態」になった可能性が完全に否定できるわけではない。

 だが病院の看護師など医療スタッフが女性本人の想いを丁寧に伺い、少しでも落ち着いてもらえるように関わることができたかもしれない。

 次に4月2日から女性は医師から「多動または不穏が顕著な状態」と判断され身体拘束された。それが8日昼過ぎの容体急変まで続いたということだが、その「多動または不穏が顕著な状態」に至った詳しい経緯はこのニュース記事には記載されていない。

 これに関してすでに十分な調査や検証がなされたかどうかは不明である。それでも私はそもそも病院側の「不要な隔離措置」「必要のなかった身体拘束」「女性が命を落とす事態」を招いたのではないかと疑問を持っている。

 それと私は女性が「隔離されたことによるストレス」をどのぐらい強く感じたかどうかが気になった。精神疾患・精神障がいを持つ人は少しのストレスで体調が悪くなることがある。隔離によるストレスが原因となり精神状態が悪化することは当然あり得る。



精神科病院で行われる隔離や身体拘束という「治療」

 一般論として、保護室や隔離室に強制的に入れられた入院患者は、「部屋から出たくても出られない」状態でしばらく過ごさなければならない。それでは患者は病気を良くするために心身を休めるどころか、かえってストレスを抱えてしまい病気を悪くすることにならないだろうか。

 入院患者の「部屋から出してほしい」気持ちや「部屋から出たくても出られない」ストレスが顕著な多動や不穏となって表れることもある。それに対して精神科病院の中には「顕著な多動または不穏を治療する」という名目で、拘束具を用いて患者を「抑え付ける」ことを過去に何度も繰り返したところもあった。他の方法で患者に対応して、患者の人権を尊重しながら治療できる場合があるにも関わらず、である。

 もちろん今回の事例が今私が述べた話に当てはまるかどうかは分からない。それと精神科病院すべてがこのような対応をしてきたわけではないことも付け加えておく。懸命に患者を治療し社会復帰を支援しようとする精神科病院も存在している。

 話を戻して、女性は統合失調症だけでなく糖尿病を抱えており、身体面でのケアも必要だった。病院側は本来他の入院患者以上に配慮しながらこの女性の精神症状を治療しなければならなかった。身体拘束により糖尿病の病状に影響が出るのであれば、なおさら拘束以外の方法を検討しなければならなかった。

 とにかく遺族側のいう「身体拘束をしなければいけない状況ではなかった。仮に身体拘束が必要な状況だったとしても、7日間も続ける必要がなかった」という主張は、私はすごく納得できる。病院側は遺族側に謝罪等の誠実な対応をした上で、早期に再発防止策を考えるべきである。



問題が繰り返される日本の精神医療

 今回ニュースで取り上げられた病院に限らず、精神科病院の入院患者に対する隔離身体拘束は、繰り返し報道されている精神科病院の入院患者に対する虐待事件と同様に、大きな人権問題だと私は考えている。

 この問題の要因といえそうなものの一つは、政府が過去に作ってきた「病院への収容」を中心とした精神医療の仕組みである。したがって政府がそれに対する猛省の上で本気で動かないと、これらの問題はいつまで経っても根本的に解決できないのではないか。

 それと入院患者が持つ権利を尊重し、本当の意味での「治療」を提供するためには、医療スタッフの質の向上だけでなく人員を増やす取り組みを急がなければならない。そのためには政府が精神科のみそれ以外の他科よりも少ない人員配置を認めているいわゆる「精神科特例」撤廃に向けて動く必要があるだろう。


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