今回取り上げるニュース
ニュース記事とそのリンク
今回は久しぶりのニュース紹介である。今日は以下のニュースについて少し触れている。
共同通信社(2025)「障害児に犯罪給付金ゼロ、長野 事件前後で等級変わらず」(2025年8月30日アクセス)
今回のニュースの要旨
- 暴行被害に遭いPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもに対し、長野県公安委員会は犯罪被害者給付金を支給しない裁定を行った。
- 犯罪被害者給付金制度は、事件前後で障害等級が変わらないと不支給になる規定がある。子どもの家族は国家公安委員会に審査請求をしている。
「福祉ウォッチャーT」筆者の意見
内容の要約
- 暴行被害によって生じたPTSDと生まれつきの発達障害の間には関連性はない。暴行被害を受けた子どもにもし発達障害がなければ犯罪被害者給付金がもらえた可能性が高い。
- 障害の有無によって犯罪被害者給付金の支給が左右されるべきではない。障害者差別解消の観点からも犯罪被害者給付金制度の改正が求められる。
PTSDと発達障害は無関係では?
ASDとADHDはどちらも発達障害(神経発達症)であり、生まれつきのものである。一方暴行被害によって生じたPTSDは、発達障害とは関係ない。発達障害のない子どもも、今回の子どものような暴行被害を受けるとPTSDを発症する可能性がある。
今回の長野県公安委員会の裁定は、PTSDによって生じた障害について認めつつも、もともと子どもが抱える発達障害によって不支給にしたとも私には思える。
もし暴行被害を受けたのが発達障害のない子どもなら、犯罪被害者給付金が給付された可能性が高い。発達障害の有無によって給付の結果が変わることは明らかにおかしい。
障害のある人も利用できる形への犯罪被害者給付金制度の改正が必要
犯罪被害は障害の有無に関係なく遭う可能性がある。よって犯罪被害者給付金も本来障害がある人にも支給するべきである。
もし同じような犯罪被害によって同じように生活に支障が出ている人でも、障害のある人にだけ支給されないのであれば、障害者差別として問題になる。
今後そうならないように、犯罪被害によって生じた生活への影響を給付の基準にするなど、犯罪被害者給付金制度の改正にすみやかに取り組むべきである。
今回も記事をお読みいただきありがとうございました。もしよろしければ以下の記事もあわせてご覧ください。

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