すぐに取り組んで欲しいこと
①生活保護基準引き下げの即時取り止め
1つ目は生活保護制度に関する話である。
前述の通り、2013年から2015年にかけて段階的に行われた生活保護基準の引き下げについて、6月27日に最高裁判所は「裁量権の逸脱」があり「違法」と判断した。
政府や厚生労働省は判断の誤りを認め心から謝罪するとともに、この引き下げた生活保護基準を元に戻さなければならない。さらに引き下げ自体が法的に誤りだったため、引き下げた差額分の給付やその他必要な補償も行わなければならない。
生活保護制度は、日本国憲法第25条で定められた「生存権」を具体的に保障するためのものである。生活に困窮する人々に対して必要な保護を行い、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するとともに、自立を助長する。
現にこの生活保護基準の引き下げにより、「生存権」が脅かされている生活保護受給者が多い。一刻も早く誠実な謝罪と金銭給付による救済を行うべきである。
②就労継続支援A型事業所からの大量離職への緊急対策

※1ページ目のスクリーンショット
厚生労働省が令和7年(2025年)6月25日に発表したプレスリリースによると、令和6年度(2024年度)にハローワークに届け出があった障害者の解雇者数は9,312人だった。
これは令和5年度(2023年度)の2,407人から大幅に増加し、これまで最も多かった平成13年度の4,017人の2倍以上になった。
それとNHK(2025a)によると、この9,312人のうちの7,292人が就労継続支援A型事業所の利用者とのことだった。
就労継続支援A型事業所の利用者は、通常「雇用契約を結んで働けるものの一般企業で働くことが困難な人」である。利用者は事業所と雇用契約を結ぶため、原則として最低賃金が保障される。
解雇された利用者の中には、一般企業の障害者雇用を探す人や就労継続支援B型事業所に移る人もいると思われる。
特に就労継続支援B型事業所は、A型とは違い雇用契約を結ばない。B型事業所からは工賃は支払われるものの最低賃金は保障されない。そのため収入の大幅な低下に悩む利用者が多くなると私は想像している。
私としては、政府に対して早期に就労継続支援A型事業所を解雇された人に対する多面的支援を行って欲しい。
雇用契約と福祉的就労を同時に失うことの影響は非常に大きい。雇用保険による給付だけでは不十分だろう。
それと早期に就労継続支援A型事業所の運営を少しでも安定化させる対策を取って欲しい。就労継続支援A型事業所利用者のさらなる解雇を食い止めるためである。
③福祉・介護労働者に対する物価高対応
最近日本は賃金の伸び以上に物価が上昇している。これはどの国民にも影響するが、福祉・介護分野で働く労働者にとっては特に影響が大きい。
福祉・介護分野の労働者の平均賃金は、ただでさえ他の業種に比べて低いことがよく言われている。そのため福祉職員や介護職員に対する賃上げの取り組みが急務だろう。
福祉職員や介護職員の賃金は、国から福祉・介護事業所に支払われる各種報酬に左右される。そうであれば、障害福祉サービス報酬や介護報酬などを緊急に引き上げられないだろうか。
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