日本精神神経学会学術総会参加を踏まえて今思うこと
より当事者の声を聴くべきでは?
今回の日本精神神経学会学術総会において、一部のシンポジウムでは精神障害・精神疾患や発達障害(神経発達症)の当事者自身が登壇された。私が講演を拝聴したDDACの広野ゆいさんもその一人である。
しかし精神障害・精神疾患や発達障害の当事者は、広野さんのようにイベントに登壇し、積極的に社会に発信できる人ばかりではない。むしろ社会に声を上げることが困難な人の方が圧倒的に多いはずである。
例えば現在でも様々な社会的事情により精神科病院からの退院が叶わない人がいる。そうでなくても地域社会の根強い偏見・差別により、困っていても声を上げられない当事者もいる。
だからこそ日本精神神経学会に所属し、日々熱心に精神医療に取り組まれる精神科医など医療職のみなさまには、より精神障害・精神疾患や発達障害の当事者の声を聴いて欲しいのである。
とりわけ声を上げることが難しい人に目を向けて欲しい。その上で当事者団体や家族会ともよくコミュニケーションを取って欲しい。一緒に取り組むことで改善・解決できる精神医療に関する社会問題もあるのではないか。
なお私が参加した1つ目のシンポジウムの終盤に、質疑応答に立った夏苅郁子医師がまさにこのことを主張された。
精神医療に直接関わるのは治療を行う精神科医だけではない。精神医療を受ける当事者もそうである。
日本精神神経学会を含む精神医療に関わる医療職者の団体が、当事者団体・家族会と協働して厚生労働省に要望を伝えることは、今後のより良い日本の精神医療体制作りにもつながるのではないか。
当事者はもっと声を出して良いと思う
私は他の精神障害・精神疾患や発達障害の当事者のみなさまに提案したいことがある。もしできるのであれば、もっと地域社会に対して声を上げて欲しい。
具体的には、
を、周りの人に伝えて欲しいのである。
例えば定期的に通院している病院・クリニックの主治医や、日ごろから利用する福祉施設の職員で構わない。
もしセルフヘルプグループやピアサポートグループなどの当事者主体で運営される団体とつながりがあれば、上記のことを他の精神障害・精神疾患や発達障害の当事者に共有することもできる。
社会に対して発言力のある当事者はごく一部である。多くの精神障害・精神疾患や発達障害の当事者は、社会的には「弱い立場」とされている。
しかし精神保健医療福祉の関係者や他の当事者と力を合わせれば、少なくとも社会に対する発言力を増やせるはずである。行政も精神障害・精神疾患や発達障害の当事者の暮らしや困りごとにより関心を持ち、対応するようになるかもしれない。
最後に…
私はこの度初めて日本精神神経学会学術総会に3日目だけだが参加させていただいた。
精神科医など医療職者が多く参加された中で、当事者兼精神保健福祉士の1人である私にとってもすごく学びが多かった。
学術総会に参加させていただき、厚く御礼を申し上げる。私は今後もこのようなイベントがあれば可能な範囲で参加しようと思う。





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