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貸与型奨学金返還困難時の救済制度まとめ【日本学生支援機構】

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貸与型奨学金返済困難時の各種「救済制度」

①返還期限猶予

返還期限猶予の概要

返還期限猶予制度は、貸与型奨学金の返還が困難な事情がある場合、日本学生支援機構へ願い出て承認されれば、日本学生支援機構から承認された期間について貸与型奨学金の返還が猶予される制度である。(日本学生支援機構 発行年不明d)

あくまでも返還を「先送り」できる制度であり、猶予が承認された期間が過ぎれば返還を再開することになる。

願い出を受けた日本学生支援機構が基準にしたがって審査を行う。収入・所得金額の基準など、返還期限猶予が利用できる一定の基準が明示されている。

1回の願い出で、猶予が承認されれば最長1年間猶予を受けられる。返還困難な事情が解消しない場合は繰り返し返還期限猶予を申請できる。ただし返還期限猶予を適用できるのは原則通算10年までという制限がある。

「傷病」「生活保護受給中」など、一部この10年までの制限のない申請事由がある。

返還期限猶予を利用しても、承認された期間内に返還する元金・利子が増加することはない。もちろん延滞金が加算されることはない。

すでに延滞中の場合

すでに延滞中の人は、延滞開始年月から返還期限猶予の願い出をすることになる。返還期限猶予に当てはまる証明ができない期間(願い出の事由がない・証明書が出せない)は、その期間に返還する分を先に入金する必要がある。

ただし事由によっては延滞期間を据え置く形で、「延滞据置猶予」の願い出ができる場合がある。あくまでも「真に返還が困難な方」のみを対象としている。(日本学生支援機構 発行年不明a)

「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金」の返還期限猶予は、一部仕組みが異なる。日本学生支援機構のWebサイトを確認して欲しい。

②減額返還

減額返還の概要

減額返還制度は、約束通りに貸与型奨学金を返還することは困難な事情があるものの、減額すれば返還できる場合、願い出により日本学生支援機構より承認を受ければ、承認された期間中は1回当たりの返還金額(割賦金)を減らせる制度である。(日本学生支援機構 発行年不明b)

減額返還の期間中は、約束の1/2・1/3・1/4・2/3のいずれかに返還金額が減額される。ただし返還期間が延長されることになる。返還予定総額は変わらない。機関保証制度における機関保証料を追加で支払う必要はなく、第2種奨学金(利子あり)の場合も利子は増加しない。

返還期限猶予と同様に収入・所得金額の基準がある。ただし返還期限猶予よりは緩い基準となる。

1回の願い出で最長1年間減額返還ができ、繰り返し願い出ることで期間を延長できる。ただし最長15年が限度になる。

減額返還中に2回続けて口座振替による支払いができなかった場合は、減額返還が取り消され、延滞金が発生するので注意しなければならない。

③返還免除

返還免除の概要

返還免除制度は、奨学金を返還する本人の「死亡」または「障害」による場合に利用できる。

「特に優れた業績による返還免除制度」はこの記事では取り扱わない。

死亡による免除

奨学金を返還する本人が亡くなった場合は、相続人や連帯保証人(人的保証利用時のみ)が、返還免除願と亡くなった事実を示す戸籍抄本等の証明書を日本学生支援機構に送付することで、返還残額(今後返還する分)が免除になる。(日本学生支援機構 発行年不明c)

精神又は身体の障害による免除

奨学金を返還する本人が精神または身体の障害を負った場合、日本学生支援機構への願い出によって奨学金の返還残額の全額または一部が免除されることがある。ただし以下の2つの要件を満たす必要がある。(同書)

  1. 症状が固定または回復の見込みがない場合
  2. 労働能力が喪失した場合、または労働に高度の制限を有する場合
  • 精神障害など症状が変動する場合、すぐの返還免除の願い出は認められにくい。
  • 就労不可能な状態ではなくても、就労に際して多くの支援を有する場合、一部免除であれば認められる余地がある。
  • 先天性の障害や奨学金の貸与以前・貸与中から継続している障害でも、返還免除の願い出ができる場合がある。

返還免除制度の利用を検討する場合、まずは日本学生支援機構の窓口に相談する方が良いと思われる。願い出の条件に当てはまると判断される場合、機構側から必要書類が送られる。

その上で以下の必要書類を日本学生支援機構に提出する。

  • 返還免除願
  • 日本学生支援機構所定の診断書
  • 収入証明書など「返還することができなくなった事情を証明する書類」

収入や所得の金額によっては、「返還することができなくなった事情を証明する書類」に、以下のような本人・親族以外の第三者の署名が必要になることがある。

  • 医療や福祉の国家資格を有する方
    • 利用している福祉施設の職員のうち、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ人
  • 民生委員・福祉事務所長など

審査によって以下のいずれかの結果になる。(障害年金や障害者手帳の等級とは異なる)

  • 第1級:全額免除
  • 第2級:一部免除(75%以内)
  • 非該当:免除なし

第2級(一部免除)の場合、免除されなかった残りの分を返還することになる。それと非該当(免除なし)の場合も、障害の悪化等があれば再度返還免除を申請できる。

当ページの参考文献

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