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障害者ピアサポート研修の詳細と実際に受講してみて

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障害者ピアサポート研修とは

障害者ピアサポート研修の概要

障害者ピアサポート研修は、病気や障害の当事者(ピアサポーター)が、同じような病気や障害を持つ他の当事者を支援する「ピアサポート活動」をより広めるための研修である。

この研修の目的について、「障害者ピアサポート研修事業実施要綱」(「障害者ピアサポート研修事業の実施について」(厚生労働省 2020)の別添文書)によると、次のように書かれている。

自ら障害や疾病の経験を持ち、その経験を活かしながら、他の障害や疾病のある障害者の支援を行うピアサポーター及びピアサポーターの活用方法等を理解した障害福祉サービス事業所等の管理者等の養成を図ることにより、障害福祉サービス等における質の高いピアサポート活動の取組を支援することを目的とする。

厚生労働省(2020)「障害者ピアサポート研修事業の実施について」(2024年7月16日アクセス)2ページ

障害者ピアサポート研修の実施主体は、原則として都道府県や指定都市である。自治体が主催することから、公的な研修といえる。

この研修の対象者は、ピアサポートを行う病気や障害の当事者(ピアサポーター)と、ピアサポートを行う福祉事業所の管理者等(支援者)である。

ピアサポート活動は、ピアサポーター自身の努力だけでなく、ピアサポートの場になる福祉事業所とその管理者などの支援者の理解も不可欠である。ピアサポーター・支援者の両者が連携・協働してピアサポート活動に取り組むことが求められる。

そう考えると、ピアサポーターだけでなくその支援者もこの障害者ピアサポート研修を受講する意味がある。

また障害者ピアサポート研修(基礎研修・専門研修)を修了した当事者・支援者のいる福祉事業所は、

「ピアサポート実施加算」「ピアサポート体制加算」

といった障害福祉サービス報酬の加算を算定できる場合がある。

障害者ピアサポート研修(基礎研修・専門研修)修了者を配置することによる障害福祉サービス事業所の「ピアサポート実施加算」「ピアサポート体制加算」について
筆者が自ら作成 参照:厚生労働省(2021: 10, 49-50, 139)・厚生労働省(2024: 41-43, 48)

障害者ピアサポート研修受講のメリット

1. ピアサポーターにとって「一定程度の質」のある公的な研修

障害者ピアサポート研修は、民間のピアサポート関係の講座とは違い、前述の通り公的な研修である。公的な研修である障害者ピアサポート研修の方が、民間のピアサポート講座よりも社会的には通用しやすいと思われる。

それと障害者ピアサポート研修のカリキュラムは、国において定められている。したがって実際の研修は、基本的にこのカリキュラムに沿って行われる。それと学ぶ内容に「一定程度の質」が担保される。

なおピアサポートに関係する講座(「ピアサポーター養成講座」など名称は様々)は、障害者ピアサポート研修ができる以前から、民間の福祉事業所等の取り組みとして行われてきた。

それと民間が行うピアサポートの講座の質が決して低いというわけではない。創意工夫によって、障害者ピアサポート研修以上に学ぶ内容が充実している講座もある。また障害者ピアサポート研修は、民間の講座をお手本にしている部分もある。

2. 対人支援の基本・コミュニケーションを気軽に学べる

障害者ピアサポート研修では、ピアサポーターとして、他の障害当事者とどう関われば良いのかということを学ぶ。研修を通じて必要なコミュニケーションスキルを確認できる。

実際の研修では、講義と演習を組み合わせている。具体的には、先に講義で必要事項を学んでからグループワーク等の演習で学んだことを確認する。そのため対人支援に不安のある人・自信のない人にも一定の配慮がなされていると思われる。

障害者ピアサポート研修は、社会福祉士精神保健福祉士といった福祉の国家資格の取得よりも明らかにハードルが低い。これらの国家資格は、学校における一定期間の学習と施設での実習、国家試験の受験を経ないと得られない。

なお社会福祉士や精神保健福祉士の資格実習は、一定の要件を満たせば免除になる場合がある。

3. 障害者ピアサポート研修修了者対象の求人に応募できる

最近は障害者ピアサポート研修のうち、基礎研修・専門研修の2つを修了したことを要件とする福祉事業所の求人がある。

福祉関係の仕事を希望する病気や障害の当事者にとっては、障害者ピアサポート研修を受講することで、今後多少は仕事探しの幅が広がると思われる。

ひょっとしたら「修了見込み・受講予定でも可」の求人もあるかもしれない。

当ページの参考資料

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