鉄道事業者の精神障害者運賃割引本格導入がもたらす今後の影響
残りの交通事業者も対応が進む可能性が高い
JRグループや大手私鉄各社が今後精神障害者にも運賃割引を適用する発表は、バスやタクシーなど他の交通事業者に影響を与えると予想される。
精神障害者割引を導入していない交通事業者は、今回の発表を受けて、少なくとも
「JRや大手私鉄が導入していないからうちも導入しません」
とは言えなくなる。
それと
「減収になるので割引対象を広げません」
とも言いづらくなる。
さらに精神障害当事者や支援者などから精神障害者割引未導入の事業者に対して、運賃割引適用を求める声がますます強まる。そうなると、多少の減収を覚悟の上で、精神障害者対象の運賃割引制度を導入する流れが広まることは容易に想像できる。
NEXCOなど高速道路・有料道路の通行料金は
私が特に注目するのはNEXCO各社の対応である。NEXCO西日本のWebサイトによると、「障害者割引」の対象は身体障害者や知的障害者であり、精神障害者は除外されている。
このことについて、同社はWebサイトにある「よくあるご質問」内で考えを示している。そのまま原文を引用すると長くなってしまうが、以下のように要約できる。
NEXCO西日本(2024)「よくあるご質問-障がい者割引制度」(2024年4月12日アクセス)
- 障害者割引の原資は公的助成ではなく他のお客様の通行料金である。
- 割引対象を拡大するには全国の有料道路事業者で調整が必要になる。
- 減収による影響や他の公共交通機関の動向を検討する必要もあり、すぐに精神障害者を割引対象に加えることは難しい。
https://www.w-nexco.co.jp/faq/08/
ただ今回の鉄道事業者の精神障害者運賃割引が本格的に進む件は、NEXCO各社や他の有料道路事業者にも当然影響を与えると私は考えている。
今後NEXCO等に対して、以下のような精神障害当事者やその支援者の声が強まるのではないか。
- 「航空事業者や鉄道事業者も精神障害者にも割引対象を拡大したのに、高速道路・有料道路はまだ割引されないのか」
- 「減収になるのは航空事業者・鉄道事業者も同じではないか」
- 「精神障害者だけに負担を強いるのはおかしい」
そうなると精神障害者に対する高速道路・有料道路の料金割引の検討を事業者はより迫られると考えられる。
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