神経発達症の方が困りがちなこと5つ
神経発達症の方がよく困りがちなことは、次の5つである。
- 時間管理や段取りが難しい
- 感覚過敏や感覚過負荷による生活のしづらさ
- 「できる時とできない時」の差の大きさ
- ワーキングメモリの弱さによる困りごと
- あいまいな指示や抽象的な表現が理解しづらい
この5つをそれぞれ具体的に説明する。
①時間管理や段取りが難しい
神経発達症の方の中には、計画を立てての活動や優先順位を付けての行動が難しい方もいる。
例えば、複数の仕事を並行して取り組む必要がある場合、それぞれの仕事の期限や難しさなどを勘案して、計画的にかつ優先順位を付けて作業することになる。
ところが、神経発達症の特性により、バランスを考えながら、それぞれの作業を進めることが難しいことがある。中には、どの仕事も期限までに終わらず、会社に迷惑をかけることがあるかもしれない。
なお、これはASDやADHDのどちらにも現れることがある。
上司が当事者の作業の進捗状況を把握し、時間管理や段取りを支援することが必要になる。
②感覚過敏や感覚過負荷による生活のしづらさ
ASDの方で、「感覚の過敏・鈍麻」に悩む方がいる。例えば、音・光・臭いなどの刺激が、健常者以上に負担になる場合がある。
私の知り合いの神経発達症当事者で、音に敏感な方がいる。その方は、普段から耳栓を持参しており、音に負担を感じると、耳栓を着用するとのことである。なお、音の大きさや質によっては、耳栓をしてもしんどいことがあるとのことだった。
過度な刺激をできる限り控える工夫をしたい。例えば、コピー機の設置場所を音に敏感な当事者の作業スペースから離す・室内でのサングラスの着用を光に敏感な方には認める、などの対応が考えられる。
③「できる時とできない時」の差の大きさ
神経発達症の当事者で、「調子の波の大きさ」に直面する方がいる。
「調子の良い日は活動できても、翌日には調子が悪くなり、活動できない」
という感じである。
これは単純に神経発達症の特性だけでなく、当事者が置かれた環境によって増幅しうる。
例えば、当事者本人と相性が合う職場だと、調子の変動は目立たない。逆に相性が合わない職場では、当事者側が無理して職場に合わせた結果、「仕事ができる時」があっても、その反動で「仕事ができない時」が生まれる、という具合である。
当事者にとって負担は小さくないものの、相性の良い職場への転職も検討できる。
④ワーキングメモリの弱さによる困りごと
ADHDの傾向がある方の中には、「ワーキングメモリの弱さ」による困難を抱えることがある。健常者と比べて、取り入れられる情報の量が少ないことがある。
例えば、以下のような経験をする当事者がいる。
私自身も、過去に「ワーキングメモリの弱さ」を実感したことがある。作業を覚える際に、他人よりもやや時間がかかった印象である。それでも、自分の中で練習したり、適宜分かる方に確認を重ねることで、作業を覚えていった。
⑤あいまいな指示や抽象的な表現が理解しづらい
神経発達症、特にASDの特性のある方は、以下のような難しさを抱えることも多い。
例えば、複数で清掃作業を始める際に、他のメンバーから「あれを取って」と言われたASD当事者が、「どれ?」と困ることがある。特にほうきと掃除機、ぞうきんなどの複数の選択肢がある場合、当事者はすごく困惑する。
「ぞうきんを3枚取って」などと具体的に伝えると、スムーズに進むことが多い。
次に、窓をぞうきん掛けする際に、「適当に拭いて」と伝えられたASD当事者が、汚れが取れない同じ窓をひたすら拭き、他の窓が延々と拭き終えられない場面があるかもしれない。当事者の中には、ここでいう「適当」の基準があまり掴めない方もいるのである。
例えば、次のように見通しを持つ形で伝えば、当事者にも分かりやすいかもしれない。
「この部屋の窓を10分程度で水拭きしてください」
「3回拭いても汚れが落ちない窓は、後ほど洗剤を使ってまとめてキレイにするので、後回しにしてください」


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