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就労継続支援B型の概要とその役割―実際に働いた経験を踏まえた解説【障害者作業所】

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就労継続支援B型事業とは

就労継続支援B型事業の法的定義

障害のある方の就労についてのチャート図(参考)

筆者が考える障がい者が就労について選択する際のイメージ図
筆者が考える障害のある人が就労について選択する際のチャート図 筆者自身が作成

就労継続支援B型事業はいわば「作業場」

厚生労働省は、障害者総合支援法に基づく就労継続支援B型事業を以下のように説明している。

一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行います

厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(2024年4月23日アクセス)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/shurou.html

要するに、就労継続支援B型事業は働きたいという希望はあっても、病気・障害の影響で雇用契約を結んで働くことが難しい人のために「作業する場所」を提供する。雇用契約を結ばないため、B型に通所する人は「労働者」ではなく「施設の利用者」と扱われる。

  • 「就労継続支援A型事業」(A型作業所)は、一般企業での勤務は難しいものの労働契約に基づいて働ける人のための受け皿となる。
  • 「就労移行支援事業」は、訓練すれば一般企業への就労が見込まれる人に対して、一定期間(原則2~3年)訓練の機会を提供する。

就労継続支援B型事業の主な利用者

一般企業での就労が困難な人

障害のある人の中には、一般企業では提供が難しい配慮が必要な人がいる。その場合は就労継続支援B型事業の対象となることがある。

例えば身体障害者の中には、介助がなければ通勤や職場内の移動が困難な人がいる。一般企業では提供できない介助を要する人が就労継続支援B型事業を利用することは十分あり得る。

それと知的障害者の中には、配慮や工夫を行っても指示通りの業務をこなすことが難しい人もいる。知的障害に詳しい福祉や心理の専門家でないと意思疎通が困難な人が一般企業に勤めることは、現実的には難しいと思われる。

高齢障害者

人間は障害の有無に関係なく年を取る。最近は「高齢障害者」と呼ばれる人も増えてきた。この人々を受け入れる就労継続支援B型事業所もある。高齢障害者の支援者は、障害特性に加えて高齢による働くことの不自由さを理解しなければならない。

一見「働けそう」に見えるが、社会に出る難しさがある人

とりわけ精神障害や発達障害を持つ人の中にこのような人がいる。いじめ虐待など何らかの事情を抱え、社会になじめなかったり社会から排除されたりした人もいる。実際そのような人たちを積極的に受け入れる就労継続支援B型事業所も存在する。

また引きこもりの人もこの中に含まれるかもしれない。「引きこもり=精神疾患」ではないとしても、メンタルヘルス上の課題として捉えることはできそうである。

就労継続支援B型事業利用時のメリット・デメリット

メリット:あらゆる手厚い配慮が受けやすい

就労継続支援B型事業所では、一般企業では提供困難な配慮を受けながら作業できることが多い。例えば通所日数や作業中の休憩など、体調変化に合わせて柔軟に利用できる場合がある。

それと多くの場合実際の作業時も支援が手厚い。障害特性への配慮から、利用者は自らの得意な作業を中心に取り組める。苦手な作業を強要されることは通常少ないと思われる。

デメリット:工賃の安さ

就労継続支援B型事業の利用者が事業所と結ぶのは「利用契約」であり「雇用契約」ではない。したがって労働基準法で定められる最低賃金は保障されない。

B型事業の利用者は「工賃」をもらえるが、一般企業や就労継続支援A型事業所で働く人がもらう労働の対価としての「賃金」とは別物だとみなされている。このような事情もあり、B型事業の利用者の中には障害年金や生活保護を利用する人も多い。

就労継続支援B型事業所が支払う「工賃」を引き上げる取り組みが続けられていることも明記しておく。平均工賃は、令和2年度(2020年)頃に新型コロナウイルス流行の影響を受けて減少したものの、平成18年度(2006年度)以降おおむね上がり続けている。(厚生労働省 発行年不明:2)

当ページの参考文献

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