作業所に勤めて良かったこと
最初は大変だが、業務や人間関係に慣れてくると楽しさが見えてくる
覚えることが多いのは大変だったが…
私が作業所に入職してからしばらくの間は、仕事がかなり大変だった記憶がある。まずはいろいろな内容の仕事を覚えなければならない。利用者と一緒に行う作業だけでなく、利用者がいない職員だけの時間帯に行う仕事も同様である。
次に一緒に働く利用者のことを覚えなければならない。利用者それぞれの性格や障害特性、作業に関する得意・不得意など、様々なことを十分に理解しないと適切な支援ができないからである。
それに加えてチームで行う対人援助の仕事という性質上、利用者との関わり方や一緒に働く他の職員との意思疎通など、適切なコミュニケーションの取り方も必然的に覚えることになった。
利用者と関わることを肯定的に捉えられると楽しくなる
私は覚えなければならない事項の多さに非常に苦労したのだが、覚えるべきことをだんだんと覚えていくにつれて、業務が徐々に楽しくなっていった。
例えば一緒に作業する利用者の「できた所」や「努力した点」といったポジティブな部分に気づき、私も率直に「頑張ろう」とか「利用者を見習おう」などと思えることがあった。
また利用者の休憩時間に利用者と雑談することも多かった。雑談中に利用者の「おもしろい話」を聴いて私が思わず笑ってしまったこともある。逆に私が利用者に「おもしろい話」をして笑わせることもあった。
利用者の見えにくい「良さ」に気づくこともあった
さらに言葉での意思疎通が困難な利用者とも私は可能な限りコミュニケーションを取った。私はその中で、その利用者が私の話を聴いて、「利用者なりに」おもしろく返していることが分かった。
それ以降、私はその意思疎通に難しさを抱える利用者について、
「私の想像以上に他人の話をよく見聞きしている」
と(肯定的な意味で)驚きながら会話していたことも鮮明に覚えている。
要するに障害者福祉の現場の仕事は、最初こそ覚えることの膨大さに苦労するだろうが、その後はしんどさだけでなく楽しさや面白さもあると思う。それと自分にとって役立つことを多く学べる仕事だと私は感じた。
利用者に助けてもらった経験もある
私自身の失敗を利用者に救済してもらった
私が利用者とともに作業する際に、利用者に助けてもらったことが何度もある。例えば利用者が組み立てた商品を職員が検品して、複数の商品を合わせる工程があった。職員が合わせた商品を利用者が紙で包んでいく。
私が検品して商品を合わせる際にやり方を間違えてしまったのだが、その後包装しようとした利用者が私の間違いに気づき、私に「違います」と伝えて下さったことが一度あった。つまりその利用者が私の作業ミスを教えて下さったのである。
私は正しいやり方を確認した上で改めて商品を正しく合わせ直して、改めてその利用者に包装をお願いした。それとその利用者にお礼をしっかり伝えた。
職員以上に周りをよく見て、フォローしてくださる利用者もいた
その他には、職員の本来やるべき作業ができていない時に、「~の作業はまだですか」と言って下さる利用者もいた。その方はいつも作業をしながら周りをよく見ていて、いつもと違うこと・ルールと違うことがあれば教えて下さった。
特に午前の作業時間の途中に、「感染症対策」や利用者の体調把握という観点で、体温測定を毎日していた。
職員の誰かが非接触式体温計(おでこで測るタイプ)で検温していたが、他にもやらなければならない業務があり、どうしても後回しになったり忘れたりすることもあった。
その際にその利用者が「体温測定はまだですか」と私を含む職員に声をかけて下さったのである。
その利用者の声を聴いた私は、
- 「ありがとうございます。すぐに準備して熱を測りますね」
- 「すみません。この作業が終わったら体温測定の準備をします」
などと声をかけて下さった利用者に返事をしていた。
まとめると、職員は一方的に利用者を支援するばかりではない。利用者との信頼関係が適切に構築されていることが条件になるだろうが、職員が利用者に支えられることもあるのだ。
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