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鉄道の障害者運賃割引制度の「古いルール」→どう改善するか

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「精神障害者除外」「単独乗車時100km超えルール」

旧国鉄の規則を受け継いだ鉄道事業者の障害者運賃割引制度

一部の鉄道事業者の運賃割引制度は身体・知的障害者のみを対象とし、精神障害者を除外している。つまり「身体障害者手帳」「療育手帳」を提示すれば割引を受けられるが、鉄道事業者によっては「精神障害者保健福祉手帳」を提示しても割引を受けられない。

それと障害者が単独で鉄道に乗車する際には、100kmを超える(101km以上の)乗車券でないと割引を受けられない。いわば「単独乗車時100km超えルール」ともいえる規則がある。一方介助者と同時に乗車する場合は100km以下の距離の乗車券であっても割引を受けられる。

100km以下100km超え
単独で乗車×
介助者と乗車
筆者作成 割引あり:〇 割引なし:×

これらは旧国鉄の身体障害者割引制度を引き継ぐ形で運用している。当時の「介護者を要する身体障害者の運賃を2人分から1人分に割引しよう」という制度設計が旧国鉄の民営化後もそのまま継続されている。

その後知的障害者については身体障害者と同様の形で1991年3月から割引されるようになった。一方精神障害者については1995年に「精神障害者保健福祉手帳」制度が創設された。しかし鉄道事業者の精神障害者割引は今も十分に浸透していない。現在(2024年2月)もJR各社など精神障害者割引制度がない鉄道事業者がある。

障害者割引に関する鉄道事業者の意見と動向

障害者割引の「精神障害者除外」「単独乗車時100km超えルール」について、JR東日本は「これ以上割引を拡大するなら国の社会福祉政策としてやるべき」という意見である。実際TBSの取材に対してJR東日本の担当者は以下のようにコメントしていた。

身体障害者割引をはじめとする公共割引は、国の社会福祉政策で行われるべきものと考えております。国鉄の制度を継承したものは、引継ぎ継続して実施いたしておりますが、割引の拡大については、ひいては他のお客さまのご負担増にもつながるため、現在のところ考えておりません

TBS NEWS DIG「鉄道の謎ルール 障害者割引“一人で利用はダメ” ルーツを調べてわかった意外な理由」より

2024年6月12日追記

記事最初の追記の通り、JRグループ等も「精神障害者割引」については今後導入される予定です。ただし「単独乗車時100km超えルール」はそのままです。

それでも精神障害者の運賃割引については、中小私鉄や第3セクターだけでなく大手私鉄でも導入するところがある。事業者によって取り組みがバラバラである。

それから公営交通では「その自治体の住民に限って割引・無料」というところもある。

  • 京都市交通局「福祉割引一覧表」:京都市内在住の身体(1~4級)・知的・精神障害者は「福祉乗車証」により京都市営地下鉄・京都市営バスなどを無料で乗車可能。
    • 京都市内在住でない身体・知的障害者は、単独乗車・初乗りから京都市営地下鉄・京都市営バスの運賃が半額。京都市内在住ではない精神障害者は割引なし。
  • 神戸市交通局「福祉乗車証(福祉パス)」:神戸市内在住の身体・知的・精神障害者は、「福祉乗車証(福祉パス)」により神戸市営地下鉄・神戸市バスなどを無料で乗車可能。
    • 神戸市内在住でない身体・知的障害者は、単独乗車・初乗りから神戸市営地下鉄・神戸市バスの運賃が半額。神戸市内在住ではない精神障害者は割引なし→神戸市交通局「特別割引」
(参考)航空会社の対応

航空会社の一部は短距離の区間・単独での搭乗でも割引がある。航空会社によりルールが異なるものの、2018年頃より身体・知的障害者だけでなく精神障害者も割引するように制度が変更された。

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