各種救済制度に対する私の意見
貸与型奨学金は「借金」や「教育ローン」なのか
奨学金は貸与型であっても、通常の「借金」とは異なる。例えば消費者金融からの借り入れや、銀行の「教育ローン」とは性質が異なるのである。
「借りたものは返す」のはその通りだし、意図的な延滞に対しては厳しい対応が必要だろう。だがそもそも奨学金の趣旨を考える必要がある。
奨学金には、
- 「学習に必要なお金の負担を軽減する」
- 「安心して勉強に励んでもらい、今後の社会に貢献してもらう」
という「投資的な側面」もあるはずである。それだと「奨学金のせいでお先真っ暗」というのは違うのではないか。
それに加えて、本人に責任のない理由・努力してもどうしようもない理由で貸与型奨学金の返還が難しくなることもある。10代後半~20代前半の学生の段階で借りた奨学金が、のちのち借りた本人にとって重荷になる。それは奨学金の本旨に沿わないのではないか。
まずは返還期限猶予や減額返還をより利用しやすい環境作りが必要
願い出をすることで初めて救済制度を利用できるという「願い出主義」であれば、積極的に各種救済制度の存在を案内すべきである。例えば「スカラネット・パーソナル」登録者に案内メールを送付することぐらいは、費用をそれほどかけずにできるはずである。
それと延滞者に対しても、督促だけでなく救済制度の案内をもっと丁寧にできないだろうか。もちろん「あえて返還しない」という悪質な場合もあるだろうが、事情があり「返したくても返せない」という配慮を要する場合もあるのである。
返還免除制度をもっと改善できないか
返還免除制度は、条件が厳しく利用しにくい印象がある。今は「死亡」と「障害」以外は現状利用できないのだが、例えば生活保護やそれに準じるレベルの低収入が継続する場合も、免除の対象にできないのだろうか。
他には年齢制限を設定し、一定年齢に達した場合は、それ以降の返還は免除されるようにして欲しい。また返還期限猶予や減額返還を繰り返した結果、約束の返還期間を大幅に超える場合の対応も必要だろう。例えば「最長返還期間」を設定し、それを超える期間の分は返還免除という具合である。
あとは「精神又は身体の障害による免除」の要件が、Webサイトを見るだけでは分かりにくい。日本学生支援機構は、要件の具体例を明示して欲しい。
- 「労働能力が喪失した場合」はまだ想像しやすいものの、「就労継続支援B型事業所での作業しかできない人(雇用契約を結んで働けない人)」はこの場合に当てはまるのだろうか。
- それと「労働に高度な制限を有する場合」というのは、具体的にどのような状態のことを指すのかが私にはよく分からない。例えば「パートの障害者雇用」のことをいうのか、「就労継続支援A型における福祉的労働」のことをいうのか、ある程度具体的に例示した方が良いのではないか。
最後に…
最近は給付型奨学金の制度も増えたが、すでに貸与型奨学金を返還している人の負担軽減にも取り組まなければならない。現在の岸田政権の主張する「異次元の少子化対策」にも、間接的だが資するように私は考えるが、どうだろうか。
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